『コラム』
- ラグスタ株式会社
- 2021/06/27
タッチラグビー日本代表夫婦 矢後大地さん・矢後江瑠さん【Cittaインタビュー】Vol.1
ご夫婦揃って現役タッチラグビー日本代表、矢後大地さん、江瑠さんにインタビューをさせていただきました。
Vol.1ではタッチラグビーの魅力と選手としての想いをお二人から伺いました。
いつでも、だれでも始められるスポーツ。気づいたらのめり込んでいた
ーータッチラグビーに出会うまでにどんなスポーツを経験されてきましたか?
【矢後大地選手(以下敬称略)】ソフトボール2年、サッカー3年、アメリカンフットボール1年間です。
【矢後江瑠選手(以下敬称略)】水泳4年、バスケットボール11年間です。
ーー様々なスポーツをご経験されていますね!当時の運動・スポーツ対する気持ちはどうでしたか?
【大地】観ることは好きでしたが、苦手でしたね。友達と一緒にいれる手段として考えていました。
【江瑠】とっても大好きでしたし、もっと上手くなりたい、負けたくない気持ちで向き合っていました。
お二人対照的な意見ですね!
ーーでは、大地さんにお伺いします。苦手だった運動・スポーツが好きになったきっかけを教えてください。
【大地】元々、体の動かし方など習得する事に時間がかかるタイプで、体育の授業は “できないな”と思う事ばかりでマイナスなイメージを持っていました。
でも、高校3年生の時にしっかり体の動かし方や使い方を学ぶことが出来たことで、“やったらできる!”という成功体験を積み重ねられた事ですね。 大学以降はポジティブに運動・スポーツに向き合えました!
ーーそこからタッチラグビーに出会って、やろう!と思ったきっかけ、理由を教えてください。
【江瑠】体育大学からは、新しいスポーツをやりたいと思って友達に誘われた事がきっかけです。 見たことも、触ったこともないボールでやってみたら意外とできて、先輩にもうまいうまいっ!って褒めてもらえたので“これは楽しいな!”と思って始めました。
【大地】大学でアメフト部に入って能力的に追いつかなくて辞めてから、体を動かさない生活のストレスがすごくあった時に誘われて始めたけど、何か魅力を感じた訳でもなく、サークルで週3回、楽しく運動できて、ストレス発散にもなってこれならやれるかなと思ったことがきっかけですね。
ーーなるほど~。今まで続けられて感じる、ご自身にとってのタッチラグビーの存在と魅力を聞かせてください。
【大地】僕にとっては、自己表現や趣味の場ですね。何歳になっても続けられる「ライフワーク」の一つです。競技を続ける魅力として、家族で公園でも気軽にできる良さもあるし、怪我のリスクも少なく、競技として何歳になってもその人のステージで活躍できる良さがあって、生涯スポーツとして楽しめることですね!
【江瑠】私は競技的な部分を魅力に感じていて、スピーディー且つアグレッシブな激しさが魅力です。ラグビーのようにタックルはないけど、同じように熱くなれる部分がとっても楽しく思います。 あとは男女で一緒になって本気でできるスポーツって少ないと思うし世界でも男女のチームが一番多いことも魅力ですね。
海外での経験が大きく競技に向かう気持ちを変えた
ーーいつから代表選手を目指したいと思われましたか?思ったきっかけはなんでしたか?
【大地】大学4年生になる年のワールドカップに向けて、3年生の時が丁度、一から代表チームを作るタイミングでした。遠征には自己希望で参加することが出来て、海外にも行ったことなかったし、大学の仲間と一緒に居れること、経験のあるニュージーランド人コーチのもとチームを作っていく面白さを感じて、楽しいサークル活動の延長線上に代表活動があったという感じですね。あとは、当時付き合っていた彼女と別れて、生活の中でタッチラグビーの割合が必然的に増えたこともあります。(笑)
なんか、すごく自然な形ですね!
【大地】そうですね!海外コーチに入ってもらえてチームの形が出来上がる時に参加できたので今思えばすごくタイミングが良かったなと感じます。
ーー江瑠さんはどうでしょう。
【江瑠】私は、代表活動に参加するタイミングはみていました。旦那さんが4年生の年のワールドカップは参加していませんが、その後、ウーメンズカテゴリーにも海外コーチが関わってくれるようになったタイミングでニュージーランドの遠征に参加出来て、その時日本国内では通用していた事が、海外では全く通用せず、海外チームとの大きな差を感じてとっても悔しい思いをしたし、もっと出来たでしょ!と思って、代表チームでも核の選手として海外チームと戦いたい!と強く思った事がきっかけです。
ーー代表活動の中で、自分・日本チームが強くなる為に努力している事を教えてください。
【大地】まずは、自分が上手くなりたいと思ったきっかけとして、2011年当時、日本チームの目標は世界大会でメダルを取る事で、オーストラリアとニュージーランドがズバ抜けて強く、他の国の情報もすぐ分かる環境ではなかった中挑んだ大会で、3位決定戦に進んだものの3点差でメダルを逃した悔しい経験をしました。
その時に、「次はメダルを取りたい!」と競技として自分の中で関り方が変わって、客観的にタッチラグビーが好きという事に気付いてから、2015年の大会に向けて考えたときに、自分が上手くなる為に今いる環境からもっと広い世界でプレーしたいと思って、社会人1年目にお金を貯めてオーストラリアに1年留学しました。
留学を経て自分自身も上手くなった手ごたえと、周りの後輩の技術も向上しているし、これはメダル取れる!と自信を持って、メダル取って引退する計画で臨んだ大会でまさかの5位という結果に終わってしまった。
その時、自分たちの周りだけを見ていたけど、世界はもっとレベルが上がっていることに気づいて、ここで終われないなと思ったのもあるし、もっと若い選手を育てることが強くなる為には必要と感じました。
なので、若い子達が長く続けられる仕組み作りや海外でプレーする経験が出来る環境を代表活動とは別枠で企画したり、より多くの子がタッチラグビーを好きになってもらえる仕掛け作りをしながら若手育成に力を入れています。
2019年のワールドカップでメダルを取ることが出来たけど、トップのチームに負けた悔しさの方が強いし、確実に勝負できるところまで日本のレベルが上がっているし、個人的にもまだまだいけるので挑戦し続けます。
【江瑠】私は、タッチラグビーをより理解して自分の中に落とし込むことをすごく心がけています。
社会人になってから仕事との両立が難しくて、社会人当初は気持ちも能力もタッチラグビーから離れてしまっていたけど、その環境の中でも、もっと自分がやるべき事を理解してやろうと思いました。
世界ナンバー1のオーストラリア人のコーチからレベルの高いものをできる限り吸収したいと思ったし、海外遠征が行けるように転職して、よりタッチラグビーを知る事、世界で1位になる為に何が足りないのかを知る事を一番意識して取り組みました。
代表チームのキャプテンとしても、チームメンバー全員がそれを分かって、言われたことに対して共通理解ができるところまでしっかり落とし込むことを努力しています。
チームとして、2015年に勝ちきれなかった世界3位のシンガポールに、2019年ワールドカップ前のテストマッチで余裕をもって勝利出来たので、「やっと整ってきたな」「これならやれるな」と今までやってきた事の成果を実感できました。
ーーでは、お互い選手として尊敬するところを教えてください。
【大地】選手として妻はいわゆるスター選手ですね。ぼくは縁の下の力持ちタイプですけど。(笑)
純粋に、ずっとその位置でやり続けること自体凄い事だと思っているし、いいな~というか羨ましいです。
【江瑠】え!羨ましいの??(笑)
【大地】うん。羨ましいよ!俺は毎回ポジション変えようとしてるのに、いつも適正ポジションに戻されるし。(笑)
【江瑠】あはは、確かに。三大会毎回同じポジションだよね。(笑)
ーー江瑠さんから大地さんはどうですか?
【江瑠】タッチラグビーに対する姿勢が本当に尊敬できます。チーム作ったり、歳の離れた後輩を楽しい経験ができるからって海外に連れて行ったり、なかなかやろうとする人がいないことを普通にできるところが本当に凄いです。
周りの人に好かれる人柄があるからこそ、年の離れた選手達を巻き込んでいく力があると思っています。あとは発信力とリサーチ力が本当に凄くて、常にアンテナを張って、初めての事をどんどんやろうとしている事が、彼だからこそできることなんだなって思いますね。
トップリーガー巻き込んでタッチラグビーやろうとしてるとか!(笑)発想がすごくないですか?!
【大地】タッチラグビーを選択肢に入れてもらう為にはもっと多くの方に知ってもらう必要がありますし、ラグビーをやっている方々に突き刺したいですね!そうしたらもっと面白くなる。そういった仕掛けを作っていきたいです。
お話を通してお二人の素敵な人柄と関係性を感じ、タッチラグビーに対してそれぞれが自分の立ち位置でやるべきことに向かって前向きに進む気持ちを伺うことが出来ました。
次回、Vol.2では、選手と家庭との両立、タッチラグビーの展望について伺っていきます。
PROFILE
矢後大地&矢後江瑠
夫婦でタッチラグビー日本代表選手。大地さんは、自身で設立した東京タッチジャンキースを日本選手権優勝常連チームに成長させ、現在は若手選手育成やタッチラグビーの普及にも貢献。江瑠さんは、日本選手権連覇を続ける所属チームBOOSのキャプテンも担う。現在は1児の母として現役で競技に取り組むママさんアスリート。 家族全員が目指すは、2023年のワールドカップ金メダル。今後の活躍が期待される。