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『コラム』

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Citta
2022/02/27

元競輪選手 黒川茂高さんインタビュー【Cittaインタビュー】

社会人レスリング全日本120kg級優勝、JOC日本レスリング選手権120kg級優勝、JOC世界レスリング選手権120kg級出場者でありながら競輪に競技転向し、競輪最高級班S級1班 G-1 G-2出場、S級優勝数回、現在NSCA認定パーソナルトレーナーである競輪界のラオウ、黒川茂高さんにインタビュー。

ご自身がレスリングや競輪を始めたきっかけやトレーニングについてのお話、また、これから運動を始める方へのメッセージをいただきました。

競輪に出会うまでは

 

ーー小学生の頃は何かスポーツをしていましたか?

【黒川さん(以下敬称略)】 走り込みですね。競技としては特にしていませんでしたが、走り込みだけ親にさせられていました。

ーー中学生からレスリングを始めたのですか?

元競輪選手 黒川茂高さんインタビュー

【黒川】 中学生の頃は空手をしていました。学校の体力測定の結果が1位で、体育の先生の紹介で特待生として高校のレスリング部に入部したのがレスリングを始めたきっかけです。

ちなみに、中学では握力は70kgありました。(笑)

ーーそうなんですね! 苦手な種目はなかったんですか?

【黒川】 長距離走とかも得意で、苦手な運動は特にないですね。

でも、スポーツテストの種目以外では(苦手なスポーツは)ありますよ!運動神経があまり良くなくて、身体能力は高いんですけど、例えば、全方向に動く競技は苦手で、レスリングは全方向に動くけど結構突っ込んで行ったら勝てるのでできました。

でも、球技はめちゃめちゃ下手。野球をしていてボールが顔に当たったこともあります。(笑)野球にしても、どれだけパワーがあっても当たらないですね。

レスリングとの出会い

ーーもしかして、球技が苦手でレスリングや競輪の道を進んだということですか?

【黒川】 団体競技は自分が頑張ってどれだけ強くてもチームが負けたら取り上げてもらえないという話を親からされていて、僕は個人競技をずっとするようになりました。

そこで、レスリングの先生に出会いました。最初に柔道に出会ったらたら柔道だったと思います。レスリングを選んだのはたまたまです。

また、個人的なイメージではレスリングってすごくマッチョでかっこいいというイメージがあって、そういった憧れとタイミングも重なったことは大きいですね。

競輪との出会い

ーーそれで高校はずっとレスリングだったんですね、競輪はいつからされたんですか?

【黒川】 福岡大学に入って、卒業してから日本競輪学校に受かって始めました。そこから選手として競輪をしていました。

ーー大学は4年間レスリングをして、競輪の練習をせずに競輪学校に受かったんですか?

【黒川】 競輪には技能試験と、適正試験があって、技能試験は昔から自転車部だった人達が受ける試験。適正試験は別枠で身体能力が高い人を取る試験で、僕はそっち(適正試験)から入りました。ダントツで勝って入りました。

適正試験はあらかじめ種目がわかっており、一次試験は背筋と垂直跳び、二次試験はエルゴメーターで高重量を30秒間回し続けるテストと、空回しでどれだけ速く回転させるかを計るテストを行います。

最後に面接がありましたが、僕はトレーニング歴が長かったので適性試験の練習はしなくてもいけました。

元競輪選手 黒川茂高さんインタビュー

ーーずっとレスリングをされていて、なぜ競輪を選んだのですか?

【黒川】 レスリングの練習中に投げられて、大胸筋が断裂、結果的に筋力が減ってしまったことがきっかけです。

本当はプロレスに行こうと思ってたんですけど、その怪我で断念して、上半身を使わないスポーツって何かあるかなと考えたときに競輪にたどり着きました。

当時は若かったこともあって、「レスリングで日本一を獲ったし、俺は何をやってもいける」という気持ちで競輪に挑みましたが、そんなに甘くはなかったです。

ーーレスリングと競輪の共通点って何かありますか?

【黒川】 個人競技という面と、基礎を鍛えていく競技という面に関しては全く同じです。

トレーニングは基礎を鍛えて回復を早くするように行っていましたが、インターバルがレスリングと競輪では似ていました。

ーー競輪において黒川さんの武器は何でしたか?

【黒川】 一番最初に飛び出る先行というポジションを主にやっていました。知られている通り空気抵抗があるため先頭にいる方が不利で、後ろの方が半分くらい楽なんですけどね。

ーーやはり初めから前にいると不利なんですね。それでも先頭に出るのはなぜですか?

【黒川】 こだわりです。先頭に行くと落車の危険が少ないというメリットはあるんですけど、その代わりに大敗する可能性があって、、それでも先頭を攻めることを僕はこだわり続けました。

それが自分の美学みたいなところもありました。

ーーレース前のルーティーンはありますか?

【黒川】 ないです。何かあったかな?いや、ないですね。そういうのはあんまり信じてないというか。

少しのことで何か変わるのかな?と思うタイプで、例えば体毛を剃った方が風圧を受けないとかいう話もありますが、剃ってないときに優勝したこともありますし、あまり気にしませんでした。

ーーウエイトトレーニングはどのくらいの頻度で行っていましたか?

【黒川】 3日やって1日休みですね。競輪は1回のレースで4日間通じて行われるんですよ。それが3回か2回かどっちかで、レースの前日は(規定で)隔離されるということもあり普段のトレーニングは時間が限られています。

ーーその中で効果を実感したトレーニングって何かありますか?

【黒川】 デッドリフト!

ですが、デッドリフトで鍛えた筋肉を自転車の動作に変換するのが難しくて、僕の場合はデッドリフトのセットの間にバイクを挟んでました。

デッドリフトは直線運動だけど、自転車は円運動で、使う筋肉が同じでも使い方が違って、デッドリフトの数字を更新しても自転車での記録が更新されないことがあり、セット間にバイクを挟むことでデッドリフトで鍛えた筋肉を自転車の円運動に変換させていました。

デッドリフトのインターバル中にバイクを漕ぐイメージですね。(笑)

ーーウエイトトレーニングと自転車を漕ぐトレーニングの両方ともが大切なんですね。

【黒川】 それはもう絶対そうです。自転車だけだと記録は止まってしまうので。運動神経というか、勘の良い人はウエイトトレーニングで鍛えた筋力をそのまま自転車の動作に活かしていたけど、自転車経験の少なかった僕はウエイトの間に自転車を漕ぐトレーニングをしていました。そうすることで動作に移しやすくしていました。

そのおかげでスピードだけなら日本一を出したことがあります。

ーーウエイトや自転車を漕ぐこと以外のトレーニングは何かしていましたか?

【黒川】 階段ダッシュとかいわゆる陸トレみたいなのはなかったです。基本ウエイトとバイクのみでした。パワーを付けるために自転車に重りをつけてダッシュしたり、回転力を上げるために下り坂でペダルを回したりとかはありました。

ーー少し話が変わります。ズバリ黒川さんにとって競輪の魅力って何ですか?

【黒川】 競技としての魅力で言えば、若手の先行争いとその後ろについている追い込み選手の駆け引きですね。チームを組んでいて、4コーナーから解除になった後の勝負とか。色々な楽しみがあります。

あとは数ヶ月でいままで見たことのない金額を自分のカラダと実力一つで手に入れることができるところですかね。(笑)

ーー競技を続けていて良かったことはありますか?

【黒川】 勝った瞬間ですね。勝った瞬間はやっぱり気持ちいいですよ。他の人は味わえないくらい。レースの前はもう辞めてやろうと思うんですけどね。

あとはカラダの使い方について勉強になったことですね。

ーーこれからスポーツを始める人へ一言お願いします!

【黒川】 とにかく体験してみてください。動かないと始まらないので。それから、教わることですね。色々なスポーツがあるので、合わないと思ったら代えればいいし一つに絞らずにやってみてください。自転車、筋力アップ、格闘技であればここでも体験できますので興味がある方は是非一度ご連絡ください!

ーーとにかく体験して専門の人に教わり、自分に合った運動・スポーツを探してみる。競技転向をされた黒川さんらしい言葉ですね!ありがとうございました。

 
黒川茂高

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元競輪選手 黒川茂高さん

黒川茂高

BLRパーソナルトレーニング主宰
高校から始めたレスリングで学生チャンピオン。大学卒業後はレスリングとは全く別の競輪の世界へ足を踏み入れる。
競輪選手としては最高級班S級1班に所属し、G1レースにも出場経験がある。競輪界きっての筋力の持ち主で「競輪界のラオウ」として多数のメディアにも出演。
現在は後進の育成にも力を入れており、同志社大学自転車競技部ストレングストレーナーとしても活躍中。


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