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『コラム』

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ラグスタ株式会社
2021/08/15

(前編)元女子プロ野球選手 佐藤千尋さん【Cittaインタビュー】

今回は元女子プロ野球選手で現在駒澤大学附属苫小牧高等学校女子硬式野球部の部長をされている佐藤千尋さんにインタビューを行いました。Vol.1では現役時代のお話を、Vol.2では指導者としてのお話を伺います。

些細なきっかけから始まった野球人生

ーーそれでは早速、競技歴や競技を始めたきっかけについて教えてください。

【佐藤千尋さん(以下敬称略)】 小学校2年生の時にソフトボールを始めました。女子ソフトボールのスポーツ少年団が地域にあったのですが人数が足りなく、もともと入団していた先輩たちから声をかけてもらったことがきっかけです。

『練習試合に行けばお菓子の差し入れがもらえるから』という言葉に釣られて、ソフトボールには特に興味もなく始めました(笑)

――何とも驚きのきっかけですね!(笑)ご家族でソフトボールや野球をされていた方がいたということもないのでしょうか?

【佐藤】 両親はテニスをしていたのでソフトボールや野球とは全く無縁でした。本当にお菓子ほしさに始めたのがきっかけという感じで(笑)

小学校の時もソフトボールはそれなりに楽しかったんですが、中学校では両親の影響もあってテニス部に入ろうと決めていたくらいです。

ただ、一緒にスポーツ少年団にいた同級生のみんなが、中学校ではソフトボール部に入団するということで1人だけ違う部活に行くのは嫌だなと思って…そのまま一緒にソフトボールを続けたという形です(笑)そこから高校までずっとソフトボールを続けていました。

元女子プロ野球選手 佐藤千尋さんインタビュー
 

基礎・基本を大切にしてきた選手生活

――大学では男性に混ざって野球をされていたとのことですが、女性ならではの苦労した点等はありますか?

【佐藤】 当時感じていたのは力の差というところですね。

大学生にもなると、大人の男性と一緒にプレーしているのと同じ状況なので…私が試合に出場できる機会は、チームが大差で勝っているもしくは負けている試合や、練習試合の5イニング以降(中盤~終盤にかけて)というような形でした。

もちろん、チームメイトには筋力やスピードでは絶対に敵わないと思いながらプレーをしていましたが、私自身は特にそこに張り合おうともしていなくて。

負けないように一生懸命頑張るけれど、絶対に埋められないものだと思いながら基礎・基本の部分を細かく詰めていけるよう、大学ではトレーニングや練習に励んでいました。自分から飛び込んだ道だったので、苦労したことやマイナスな思いはしてこなかったと思います。

――小学生からプロとして現役を引退するまでに様々な練習やトレーニングをされていると思いますが、どのような内容が多かったと感じますか?

【佐藤】 やはり基礎・基本のトレーニングや練習が大切だなと感じていました。特別なことをしてきたという印象もないですね。

例えば、新しいトレーニングを教えてもらって体の使い方が良くなり、パワーの発揮に繋がったりパフォーマンスが向上したりということはありますが、小学校からプロ時代を通してどのレベルでもやはり基礎・基本の反復がいかに無意識にできるかというところが大事だと思っています。

中学・高校ではトレーニングのバリエーションも広く浅くという感じでしたが、その部分を大学やプロ時代にさらに突き詰めて取り組んできたと思っています。

自分の実力試しから、厳しいプロの世界へ

――高校までのソフトボール、大学での野球経験を踏まえて女子プロ野球に挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。

【佐藤】 大学2年生の時にマネージャーからプレイヤーに転向しました。試合に出る機会はそれほどありませんでしたが、男子の中で女子がプレーしているということが当時珍しくて、メディアの方に取り上げていただけたことがあったんです。そこで仲良くなった記者の方から『女子プロ野球というものがあって入団テストをやっている』という情報をいただきました。

大学では教員を目指していたこともあり、最初は『へえ~そうなんだ~』という気持ちでしたが、自分の実力を試す機会として入団テストを受けることにしました。もちろん受かるとは全く思っていなかったのですが、結果として合格をいただくことができました。

教員の道か、プロの道か、たくさん迷った結果、今しかできないことをしようという思いと周囲からの後押しもあってプロ入りを決断しました。

――色々な思いと決断があったんですね!ではここで、佐藤さんがプロ時代の1日のスケジュールを教えていただきたいと思います!

元女子プロ野球選手 佐藤千尋さんインタビュー

【佐藤】 毎朝大体5時半くらいに起きて朝食をとり、7時過ぎには家を出でグラウンドに向かっていました。色々なチームに在籍してきましたが、大体8時くらいには練習が始まっていましたね。

13時くらいまで練習をし、その後昼食をとってから15時頃に出勤、18時頃まで野球に関わる仕事をしていました。夕食後はジムや自主練に行ったり、自分のフリータイムという形です。

――朝8時から練習とはなかなか早いですね…!野球とお仕事の両立について難しさはありましたか?

【佐藤】 野球と仕事の両立について難しさはあまり感じませんでした。

ただ、野球に関わる仕事といっても内容は様々でチラシ配りから試合の運営スタッフ、キッチンカーの呼び込み等、幅広いものだったこともあり大変さを感じたことはあります。ですが、今思い返してみると非常に良い経験ができたと感じていますし、野球を通しての仕事で自分自身も成長することができたかなと思います!

些細なきっかけで始めたソフトボールから、女子プロ野球選手となった佐藤さん。次回、vol.2では女子プロ野球選手として活躍された後、セカンドキャリアとして選んだ指導者の道についてお話を伺います!

佐藤千尋

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元女子プロ野球選手 佐藤千尋さん

佐藤千尋

岩手県出身。北海道苫小牧在住。元女子プロ野球選手(2012―2019)
現在、2020年に新設された駒澤大学附属苫小牧高校女子硬式野球部部長として後輩の育成、女子野球の発展と普及に尽力している。


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