『コラム』

- Citta
- 2025/06/07
ノルディックコンバインド競技選手 中村安寿さん【Cittaインタビュー】
ノルディックコンバインド競技で2026年冬季オリンピックでのメダル獲得を目指す、中村安寿選手のインタビュー。
クロスカントリーから現在のノルディックコンバインド競技に転向した経緯など現役選手ならではのお話を伺いました。
チャレンジ精神が自分を動かしている
ーースキーを始めたのはいつ頃からですか
【中村安寿さん(以下敬称略)】スキーは5歳くらいから、ノルディックコンバインドは高校から始めました。
ーーコンバインドへ転向したきっかけは何ですか?
【中村】クロスカントリースキーをやっていて、辛くて辞めたかったし、全然成績も出てなかったんです。
もともと誘われて入ったんですけど、札幌でクロスカントリースキーをやっている人が辞めていなくなって、中学校の全市っていう札幌だけの大会で、女子一人だけで走ってたりしてて絶対辞めてやるって思ってました。
中学校3年生の時に少し成績が上がって、スキー楽しいかもしれないって思ったけど、そのままクロスカントリーを続けてそこそこの成績で終わるよりかは、新しいことを始めて世界大会に出たいと思って変えました。

ーーノルディックコンバインド競技が出来た時どう思いましたか?
【中村】兄と弟がジャンプをしているんですけど、私だけジャンプをしていなくて、周りにジャンプをやっている人がたくさんいたから、良いきっかけになって、始めやすかったです。
ーーノルディック複合競技の魅力は何ですか?
【中村】前半にジャンプ後半にクロスカントリーで二つの種目で順位を競うんですけど、色んなプロフィールのコースだったりジャンプがあって、会場ごとに違う展開があったり、たまにクロスカントリーを先に走ってジャンプを後からやるっていう逆転して競技をしたり、チームスプリントっていう二人で組んで二人のジャンプの合計でタイムを出してリレーみたいな感じで回したり、1つの競技に色んな種目があるので見てる側も面白いと思います。

ーー世界の選手と日本の選手の違いは何だと思いますか?
【中村】ちょっと経ったけど女子はできたばっかりで最初から日本強くて今も日本強いんですけど、ここ最近海外の選手が急成長してきて1年後に別人の選手になっている人がいて、今までの日本の勢いが無くなりつつあるのでそこが心配なんです。
日本人は走る方があまり得意ではなくてジャンプが上手いのが日本人の特徴なんですけど、女子は比較的みんな走れるのでそこが強みだと思います。
ーー普段どのような練習・トレーニングをしていますか?
【中村】今までクロスカントリーをたくさんやってきたから、高校の時はジャンプに慣れるためにひたすらジャンプを飛んだんですけど、その分クロスカントリーが走れなくなったりしてバランスをとるのが難しいと感じています。
クロスカントリーだったらランニング、自転車とかインターバル、水泳とか持久系をたくさんやって、ジャンプは、スキージャンプは夏でも飛べるので飛んだりハードルとか瞬発系のトレーニングをたくさんしています。
ーートレーニングをする際に意識していることはなんですか?
【中村】バランスをとるのが難しくて、少しでもどっちかに片寄るとどっちかがダメになっちゃうという難しさがあります。最近は走ることにフォーカスしすぎて、週2でスピード練習を入れてるんですけど頑張りすぎちゃって瞬発力が無くなっちゃってハードルをやると飛べなくなったりしてバランスを見ることが大事だと思います。
ーートレーニングをする時に中間を保つのは難しいですか?
【中村】量で分けても体の感覚が大事なので持久系伸ばしつつ瞬発力も高めながらやるのは難しいです。
男子はあるけど女子の今までのデータがないので、どんな練習すればいいのかわからないし、どんな強度でやればいいかもわからないので手探りの状態でやっています。
自分を信じることが、自分を強くさせる
ーー中村選手の強みは何ですか?
【中村】競技自体で言えば、ずっとクロスカントリーをやっていたから走る方が得意で、前半ちょっと失敗しても後半に追い上げられるのが強みです。
自分自身であれば、「自分は出来る」っていう謎の根拠があって、気合があるところです。

ーー競技生活の中で一番苦労したことは何ですか?
【中村】ジャンプのレベルがみんなに追いつくまでが一番大変でした。
普通は小学生のころから始めるのが一般的なんですけど、ジャンプを始めるのが遅く、高校から始めたのでとにかく小さい台で始めて、一緒に練習していた小学生の方が上手だし、クロスカントリーの練習時間をさいてジャンプにつうやしたから走る方もなかなか思うようにいかなくて大変でした。
ーー苦労をどのように乗り越えましたか?
【中村】兄がスキージャンプの選手でW杯とか回っている選手なのでたくさんアドバイスをもらったり、時には兄と同級生の高梨沙羅さんに動画を見てもらったりしています。
周りに上手な人がいるので、たくさん聞いて実践してっていうことをずっと繰り返ししています。
ーーこれからノルディックコンバインド競技を始める子ども達へメッセージお願いします!
【中村】競技人口が少なくて昔は男子を含めていなくて、ノルディックコンバインドって言ってパっと競技を思いだす人があまりいないような気がして、お父さんお母さんのちょっと上の年代でノルディック複合って言ったら「ああ」ってなると思うんですけど、荻原兄弟っていう双子の選手がいたので、今は渡部暁斗さんっていう男子の選手がオリンピック2大会連続銀メダルを取っても、あまり知名度がないので「ん?」って思われるかもしれないですけど実際は見てても楽しいしやっていても楽しい競技なので、是非見てもらいたしやってもらいたいのもあります。
女の子に関しては出来たばっかなのですごくチャンスがあって、新しいことを始めたいとか世界大会にでたいなって思う方に是非やってみて欲しいです!

PROFILE
ノルディックコンバインド競技選手 中村安寿さん

北海道札幌市出身。東海大学札幌キャンパス在学中。
大学進学後の2018年から全日本ナショナルチームに選出。2020/2021シーズンから開催された女子複合W杯で日本最高位4位入賞。2026年冬季オリンピックでのメダル獲得を目指し日々練習に取組んでいる。