『コラム』
- ラグスタ株式会社
- 2021/10/25
プロマラソンランナー 川内優輝選手 【CittaスペシャルインタビューVol.2】
公務員ランナーとして多くの大会で記録を残し一躍有名に。
最強の市民ランナーから現在プロマラソンランナーとしてご活躍中の川内優輝選手の特別インタビュー。
Vol.2では、多くのレースに出場し結果を出し続けられる強さの秘訣、プロランナーに転向した今の事を伺っていきます。
原動力は、各地、各国の人と触れあい、世界がひろがること
ーー今各地、各国のレースに100回以上出場されていて、1年に10回以上出場されている川内選手ですが、大会出場の魅力と常に高いモチベーションでいられる理由を教えてください。
【川内優輝さん(以下敬称略)】やはり、1番の魅力は各地、各国の大会に招待して頂いて、色々な所に行けるという事ですね!
また、各地、各国のレースに出場する事で、いろんな方とも交流し知り合えることが出来て、人脈が広がって世界が広がることが魅力であり、モチベーションになっていると感じますね。
ーーまた、レース間が2週間未満のときもあると思いますが、その時の回復方法といいコンディションで臨むためにどんなことをされていますか?
【川内】レース後には必ず、ダウンジョグをゆっくりとおこなっています。
それが出来ない状況でも、ウォーキングはするようにして、アイシングと交代浴は欠かさず行うようにしています。温泉があれば、温泉に浸かって、サウナと水風呂を繰り返していますね。
海外では温泉がなかなかないので、ホテルのバスタブと水シャワーでアイシングと交代浴をおこなって、日本に帰ってきてからは、針治療やマッサージにいって身体のメンテナンスをしています。
公務員時代からですが、こういう事の積み重ねが経験になって、自分の中でもこうしたら怪我をせず、いいコンディションが保てるというパターンが出来てきて、身体を壊さずにやれていますね。
海外だと時差ボケに当初は悩まされていましたが、それも経験の中で上手く付き合えるようになりました。
ーーなるほど!川内選手はご自身で勉強されたり、ご経験されてきたことで、いくつもの困難を乗り越えてこられたと感じますが、トレーナーの方や専門スタッフの方はいらっしゃいますか?
【川内】 社会人一年半は大学の時の監督に作ってもらったメニューで面倒をみていただいていましたが、なかなか仕事とメニューをこなす両立が難しく、自分が思ったようにはいかずに、走れなくなってしまった時期もありました。
なので、監督・コーチは付けずに、今まで学校で学んできた経験から、何を自分はやればいいのかが頭の中にはあったので、それをもとに自分で自由に考えて練習を今までやってきました。
トレーナーさんも、公務員をやっていたこともあり、専属で付けるというよりは通って治療が受けられればいいかなと思っていたので現在も付いてもらっていません。
プロになることで自分にしか伝えられないことがある
ーーでは、プロランナーに転向された理由と、時期は考えて転向されたのでしょうか?過去にも転向を考えた事はありましたか?
【川内】転向した理由の1つ目は、自己ベストが更新できない時期が続いたという事があります。
あともう1点は、実は弟が先にプロランナーに転向していて、1番下の弟もプロに近い形で競技をやっているのですが、2人を見ていて自由に練習もやり、結果も出ていて、私もそうやってやったらまだ記録が伸ばせるんじゃないかと思ったり、仕事の関係で行けなかった海外の大会も、プロになればもっと行けるなと思っていた事、
また、公務員だと、講演に出るのに制限があって、公務員は自分ではない誰かが代わることが出来るけど、現役選手として講演とかレースに招待選手として出る事は今の自分にしかできない事だと思って、転向を決めた事もあります。
その他は、弟達も大学を卒業し、自由に生活できるようにもなったし、公務員10年という節目のとしてもあったので、昇進して公務員を続けるのか、競技に集中できる環境を選ぶかとなったタイミングでもあり、時期的にもいい時期だったと思います。
以前にも転向しようかと少し思った時期もありました。その時は記録が伸びていたこともあったので、強くは思っていなかったですが、当時ライバルだった選手がプロに転向後、様々な場所で合宿を行っている様子を知って、シンプルに羨ましいな~と思ったこともありました。
ーーレースの面白さ、マラソンの魅力を教えてください。
またレースへのこだわりはありますか?
【川内】そうですね、レースの面白さは、やはりレース中の相手との駆け引きです。
作戦を考えて作戦で勝つ事。あとはタイム目標をクリアする事。そして、知らない道を走ることで、面白さもありますし、車道のど真ん中を走って普段見られない景色が見れることも快感ですね。
あとは何といっても、沿道の応援です。
沿道から声や太鼓などの音で応援してもらえること、海外だと日の丸をみるとやっぱり嬉しいですし、元気が出ます!
ーータイムを狙っている苦しい時には、周りを見る余裕はありますか?
【川内】やっぱり苦しい時は、耳から声は入っていて、他は見れない事はありますが、逆にしっかり見えている方が余裕あって、調子のいい走りが出来ますね。
応援もポイントがあって、ちょうど曲がるT字路の角に応援があると、遠くからもよく見えますし、箱根駅伝の山下りも横断幕がみえて、ガッとそこでギアを上げることができた思い出があります。
自分自身が話題になることで地元を発信し、盛り上げたい
ーー現在も精力的にスポーツ振興に従事され、活動をされていますが、今後どのような活動、情報の発信をしていきたいとお考えですか?
また、地元久喜市への関りについても教えてください!
【川内】地域振興の形としては、コロナ蔓延前まで、あいおいニッセイ同和損害保険さんと一緒にやっていた、マラソンキャラバンという形で、マラソンを核にして、マラソン大会のゲストで大会の前後に講演やマラソン教室、トークショーをやったりしながらマラソンを盛り上げていく活動をまた日本全国でやっていきたいなと思っています。
今はなかなか講演等が行えていない形ですが、やはり、市民マラソン等に参加して、現地の社員さんと一緒に盛り上げるというが一番楽しいですし、会社の団結を深める面でも、市民の方にも喜んでいただける面でも、みんなで楽しく幸せを共有できる、マラソンキャラバンの活動をもっと広めていきたいですね。
地元の久喜市の親善大使を務めている事もありますが、名刺で久喜を宣伝したり、市から依頼をうけてメッセージやプレゼントを贈る事もあります。
20年間お世話になった久喜市を盛り上げる為に、久喜マラソンなどの大会に出場する事や、今後機会があれば講演等も行いたいと思っています。
ーー久喜市のマラソン大会では、毎回コスプレをして話題になっていましたよね!
【川内】あはは!そうですね。
久喜市はアニメの聖地と言われる鷲宮神社が有名で、アニメで町興しをしていることもあり、毎回全力で走っているので、全力で面白おかしくしてみようという事で第一回目はスーツで走りました。
全体の3番に入ったのですが、それが世界中でニュースになって、世界中に久喜の名前が発信されて、「スーツユウキ」っていうTwitterのアカウントが出来るくらいで、出したタイムもハーフマラソンギネス記録の10分くらい速いタイムだったという事も重なって、すごく話題に出来たので、連続でコスプレは続けています。
パンダや忍者といったコスプレしてきましたが、これからもコスプレでどこまでタイムが縮められるか、久喜市、世界中の方々と楽しんでいきたいと思います。
ーー運動・スポーツにはどんな可能性があると思われますか?
【川内】やはり、人脈が広がって、人種性別関係なく人と人とが繋がるツールになると思っています。
スポーツのルールは世界共通なので、言葉が通じなくても、レースなどで様々な国の選手と同じ場所で戦えて交流が出来る、喜びを分かち合える。
仕事の場面でも、共通の話題で盛り上がったり、利用者の方で見てくれている方から声をかけてもらったりと、人と人とが繋がるツールだなと実感しています。
コロナ禍で本来運動・スポーツの意味が感じられなくなっていると思うので、何とか早くコロナが収まって、本来の運動・スポーツの良さが広がっていくことを願っています。
ーー最後に今から運動(スポーツ)を始めようとする方へメッセージをお願いします!
【川内】そうですね。やっぱり運動・スポーツをすることによって怪我をしてしまうと本末転倒になってしまうので、準備や体操をしっかりして怪我を予防したり、少し痛いところが出たら休息をとる事も大事ですね。
また、逆にこれからスポーツしたいという方は、休みすぎてしまう事もあると思うので、目標を共有できる仲間を作ることで、誰かの目がある事で続けられるようにもなると思います。
また習慣化になると、「やらないと気持ち悪い!」となれば、一人で観光ついでにランニングするとか、個人で楽しめる幅も広がると思っています。
スポーツ競技何でもいいと思いますが、その競技の大会に行く為にその場所に行ける。その場所で、新たな出会いがあったり、発見ができたり、無数にある選択を絞る事に役に立つと思っています!
「やらされるスポーツ」ではなく「やるスポーツ」に変わることで、スポーツ本来の楽しさを感じて欲しいなと思います!
私は、もう一度ワールドマラソンメジャーズといった世界大会で優勝する事、更に自己新記録に達成に向けて挑戦をしていきます!
その後年齢を重ねてきたときには、年代別で世界記録を伸ばしていけるところまで伸ばしていきながら、競技を追求していきたいと思っています!
またそれと並行して、日本各地で自分が得てきた経験をたくさんの方に様々な形で発信をしていきたいと思っています。
川内選手は、自分人身を一番よく理解しているからこそ、ご自身の可能性を信じ、どこまでも高みを目指し、競技に挑み続けられているのだと強く感じました!
これからも川内選手の挑戦と今後のご活躍をCittaも追いかけていきます!
お楽しみに!!
PROFILE
プロマラソンランナー 川内優輝選手
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社所属
6歳から陸上を始め、学習院大学時代は箱根駅伝に関東学連選抜(現.関東学生連合)6区として2度出場。その後公務員としても競技を続け、「最強の市民ランナー」として各地様々な大会で記録を残し、一躍有名に。市民ランナーでありながら、日の丸を背負う期待の選手として世界陸上大邱大会に出場。
その後も年間100回以上各地、各国のレースに出場し、2018年のボストンマラソンではアマチュアランナーとして優勝を成し遂げた。
2019年4月からプロランナーに転向、昨年、通算100回のサブ20を達成しギネス記録にも認定された。
まだまだ進化を続けながら、日本中、世界中を飛び回り夢を実現し続けている。