『コラム』
- Citta
- 2022/03/06
いわてグルージャ盛岡 キャプテン牟田雄祐さん【Cittaインタビュー】
現在、いわてグルージャ盛岡のキャプテンとしてご活躍の牟田雄祐選手。
サッカー選手としての活動の幅を広げさまざまな挑戦や、ご自身の知識を高める為にカラダについて学び、トレーナーの資格もお持ちです。
精力的な活動の背景やこれから描くビジョンについてお伺いしていきます。
サッカーはなくても世界はまわる。でも自分にしかできないことがある
ーー早速ですが、PARKさんと一緒に取組まれているプロジェクトについて教えてください。プロジェクトの始まったきっかけはなんですか?
【牟田雄祐さん(以下敬称略)】PARKSSCさんは元々、環境や子供支援に力をいれている会社で、私がいろんな活動に興味がある事を発信していたことで、元チームメイトから紹介をしてもらった事が始まりです。
当初は、PARKさんが出しているアパレルを身につける事をさせてもらっていました。
関りの中でPARKさんの取り組みを知り、自分自身もコロナ禍でリーグが延期になったことを経験して、サッカーはなくても世界はまわるな、絶対に必要なものでもないのかなとも感じました。
ですが、サッカーで楽しい、悔しいといった喜怒哀楽の感情を味わえる、表す場所として必要かなとも感じて、サッカーは必要じゃないかもしれないけど、必要だなという気持ちになりました。
矛盾していますが、自分自身もサッカー選手としてもっとできる事を広げていきたいと思っていたので、その気持ちが合致して本格的に活動がスタートしました。
自分自身も、試合に勝つ度に地域に恩返しをしたいと考えていて、それが上手くボールという形にできている活動です。
ーーなるほど。具体的にはどんな活動ですか?
【牟田】PARKのボールは1個購入する度に、海外の恵まれない地域に1個ボールが送られるシステムがあります。
私は試合に勝つか、自分が試合でゴールを決めるかどちらかが達成できたら、1個購入したボールを岩手県の児童養護施設に持っていき、PARKさんからは海外へプレゼントで送ってもらっています。
ーー素晴しいですね!牟田さんからこのプロジェクトはスタートしたのですよね?プロジェクトを通して伝えたい想いはなんですか?
【牟田】はい、そうです!
児童養護施設には様々な理由で生活している子どもたちがいます。
他の子供たちとは違ってなかなか挑戦する事に壁を感じている子が多いと思うんです。
ボールを通して多くの人と繋がれる事を感じてもらいたいですし、いろんな事に挑戦できる事を知って欲しいと思います。
サッカーボールをあげるだけじゃなくて、ボールを使ってコミュニケーションを取ることで、子どもたちが輝ける場所はもっとあるということを伝えていきたいですね。
ーープロジェクトを通して実感している事を教えてください。
【牟田】最初はお互いに戸惑いがあってぎこちなさもありましたが、プレゼントしたボールを使って遊んだりして、短い時間でしたが喜んでもらえた実感があります。
日々の繰り返しの中に、ちょっとしたイベントがあるだけでも明日楽しみだな!と思えるきっかけになれれば嬉しいなと思いましたし、記憶に残って、また振り返って思い出してもらえるといいなと思っています。
ーーPARKプロジェクトの輪をどの様に広げていきたいですか?
【牟田】PARKを通してだけでなく、Jリーガーが子供たち対象にサッカー教室をする事もそうですが、それ以外の活動を通して、なかなか世の中に知られていない情報をSNSなど通して発信する役割を担っていきたいですね。
子どもたちの支援をしたいと思っている方々はたくさんいらっしゃいますよね。
ですが、何からしたらいいか分からないという方もいると思うので、そういった方々を代表して、と言いますか、代わりになって、多くの子供に夢や希望を届ける存在になっていきたいです。
私はサッカーというツールを今使って支援をおこなっていますが、それだけでない形でも協力したいと思っていますし、みんなが助け合える世の中を作っていけたらいいなと思っています。
ーーPARKプロジェクト以外にも、子どもたちの教育やスポーツ活動支援に繋がる取り組みをされていますが、精力的に活動をされる原動力はなんでしょうか。
【牟田】私も小学生時代不登校の時期があって、みんなが気付かない視点で物事を見ている部分があるなと思うところがあります。
大人になってからも、みんなが引っかからない事を不思議に思う自分がいる事に気づいて、自分の想いを言っても少数派でなかなか受け入れてもらえなかった事が多くありました。
ですが、今の奥さんと出会って「それっていいことだよ」って言ってもらえた事がすごく自分にとっては自信になったことから、個性って大事だなと改めて感じました。
コーチや親が言うことをやろうとしている子どもたちを見ると、心から楽しめているのかな?と疑問を抱きます。
私自身も今までの経験の中で、そういう時は面白くないし、心がときめいてないなと感じます。
もっと自分を我慢せず出していって欲しいし、我慢する気持ちを取り除いてあげたいなと思う気持ちが大きいですね。
私と接する事で、「違うこと言ってるな、この大人」「それでもいいんだな」って思ってもらうきっかけになれればいいなという想いが自分の原動力になっていると思いますね。
選手としてだけではなく、専門家として
ーートレーナーの資格を取得されたとの事ですが、カラダの仕組みやトレーニングについてより深く学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
【牟田】5年前に京都サンガ時代、股関節唇損傷という怪我をしました。
1年間のリハビリ中、担当のトレーナーが当時の日本でも珍しい今まで出会ったことないトレーニングをおこなう方でした。
ダイナミックストレッチや呼吸だったり、カラダの機能改善を目的に行うトレーニングでしたが、自分自身がすごくそのトレーニングの効果を実感できて、カラダも変わりました。
トレーニングについて深く突き詰めたいと思い、トレーナーさんの繋がりから、単身アメリカに飛び込んで、プロ野球選手と一緒にトレーニングをおこないました。
トレーニング自体、自分に合っているなとすごく感じて、ここまでやっているなら自分も専門的に学んでみたいと感じたので勉強を始めました。
勉強をさせてくれたチームの環境にも恵まれ、サポートをいただきながら進められたのでスムーズに学びを進める事ができました。本当に感謝しています。
ーーちなみに、語学は独学ですか?
【牟田】語学に関しては書けるわけでもないけど・・・喋れる自信はあるんですよね。(笑)
日本語だったらどうかな?って考えると何となく分かる気がするので。
心と雰囲気で突き通していますね!(笑)
ーー凄すぎますね。(笑)
カラダの事を学ぶことでご自身の変化、周りの変化などありましたか?
【牟田】自分の身体のコンディションの良し悪しが分かるようになりましたね。
この筋肉が使えてないな、とかが分かるので、その日の状態に合わせて自分自身で調整できるようになりました。
自分の身体は大体理解できていると思います!
トレーナーに相談する場合も、身体のことが大体わかるので共通認識を持ちやすく、短時間で解決できる事が多いので、悪い状態から良い状態に持っていくのも早くなりましたね。
もし自分が引退しても、子供たちに何かを教えたりするときにも活かせるなと思いますね。
ーー学んだことをどのように還元していきたいですか?
【牟田】そうですね。子供たちが思い切って遊びながら、成長できる環境を作りたいですね。
今は怪我をしないことが大事になり過ぎているなと感じます。
子どもたちの行動も制限され、子どもたちが考える範囲も狭くなってしまっていると思うんですよね。
どこまでいったら怪我をするのか?を自分で分かるようになるべきだと思うし、大人の制限が入らない環境で、サッカーに限らず色々な動きを取り入れながらやっていきたいですね。
ーーいいですね!おうち時間で出来る「MUTAトレ」拝見していました!ご紹介されていたトレーニング少し紹介いただけますか?
【牟田】はい!一部ですがどうぞ!
また定期的に紹介したいと思っています!
ーー今後トレーナーとして挑戦したい事などあれば教えてください!
【牟田】トレーニング指導をしたいですね。
無給でいいのでジムで働いてみたい、とも思っていました。(笑)
アスリートと一般の方ではもちろん指導の仕方は異なりますし、その経験をしたいですね。
その他は、岩手に『村』を作りたいと思っていて・・・
農業、学び、スポーツ全部が揃っていて、その村で完結できるような事をしたいです。
サッカー選手として表現していきたい
ーー牟田選手にとってサッカーとは?魅力を教えてください。
【牟田】今までは『勝つ』ことばかりに意識がありましたが、それ以外の魅力を最近は感じています。
勝てば嬉しい、負ければ悔しい。そういう風に喜怒哀楽をおもいっきり表現できるものこそがスポーツだし、サッカーです。
目の前の『勝利』に向かって練習をする。けど、勝利だけが全てじゃない。
矛盾しているようですが、そのプロセスにはたくさん経験や気づきがあります。それが体感できることが、サッカーの魅力ですね。
私たちの試合を見て、『頑張ろう』って思ってもらえると嬉しいですね。
勝つ事で喜んでもらえたり、試合を仕事や学校への活力にしてもらえるのは本当に幸せですし、それで十分いいなと思いますね。
そういったパワーがJリーガー全員にはあると思っています。
常に心を動かせる選手でいたいと思っていますね。
ーーキャプテンとしてどんなチーム作りを意識していますか?
【牟田】全員が悔いなく試合を終われるようにということを心掛けて、全員が力を出し切れるような環境づくりを意識しています。
基本は楽しく、でも締める時は締めるようにしていますよ。
かける言葉も、選手みんなの心に刺さるように、色々な本も読んでいます。
最近はマンガの「ミステリという勿れ」にハマっていますね!主人公が変わっていて細かいところに気づく所とか、少し似ているところを感じるので読んでいますよ。
ーーいわてグルージャ盛岡はどんなチームでしょうか。
【牟田】最後まで諦めない。困難を一岩となり乗り越えていくチームです!
⇒いわてグルージャ盛岡 オフィシャルサイト
ーーサッカーをはじめ、運動・スポーツにはどのような可能性があるでしょうか。
【牟田】『健康』というものは『運動』を通して育まれるものだと思います。
誰でも健康でいられる年齢を長くしたいと思いますよね?ですが、いくらお金を稼いでも健康でなかったら人生を楽しむことが出来ないなと思うんです。
考え方次第では、お金を掛けずに健康を保つ方法もあると思いますし、その為にも自分たちがもっと勉強して知恵を蓄えて、次の世代にも繋げていきたいですね。
ーーでは最後に、運動・スポーツをこれから始める方へメッセージをお願いします!
【牟田】楽しむものがスポーツだと思っています。
運動が“義務”になってしまうと、しんどくなって続かないですよね。
自分が楽しめる範囲でできることからぜひやってみましょう!
やってみると心も晴れやかになったり、一緒に楽しむ仲間も出来たり、目標が出来たり、どんどんいい循環が生まれてくると思うので、まずはチャレンジしてみて欲しいなと思います!
一人のアスリートしての可能性を決めずに、ご自身の想いを行動や形にしている牟田さん。お話しされる姿からパワーがひしひしと感じられました!
今後も進化を止めない牟田選手を一緒に応援しましょう!
MUTAトレNewバージョンも近日ご紹介いただきます。お楽しみに!
PROFILE
いわてグルージャ盛岡キャプテン 牟田雄祐
サッカーJ2リーグ所属 いわてグルージャ盛岡キャプテン
KSNサポートアスリート
小学生からサッカーを始め、大学卒業後2013年からJリーグ、名古屋グランパスに入団。2年間の経験後、京都サンガF.C.に入団し、所属中に期限付き移籍でFC今治でもシーズン通して活躍。2020年から現在所属のいわてグルージャ盛岡へ移籍。
昨シーズンはキャプテンとして、チームのJ2昇格に大きく貢献した。
選手活動に加え、Game Changer Pass-A-Ball Projectの活動もおこない、子どもたちの支援活動を精力的に行う。
⇒Game Changer Pass-A-Ball Project