『コラム』
- 有限会社ゴルフハウス湘南
- 2023/02/13
ナイスプレーを生み出す5つのステップ①「脳をだましてナイスショット」
ゴルフの上達を図るには、スイング技術だけを追求しても片手落ち。
“心技体”を三位一体で向上させることが必要です。
正しいスイングができるカラダをつくり、練習でスイング技術を向上させ、それをいかなる状況でも発揮できる強いココロを持つことが大切です。
では、心技体が充実すればこれでベストプレーが実現し、良いスコアで回れるかといえば、けしてそうではありません。
なぜなら、物事には「定石」というものがあり、これはコースプレーでも同じだからです。
ここでいう定石とは、コースラウンドにおいてやるべき最善の手順(ステップ)のこと。
この定石を踏まずにショットに挑んでも、けして良い結果はえられません。
逆に定石を身に着けると、ショットのクオリティが格段に高まります。
これから数回にわたり、この定石を一つひとつ解説していきます。
今回は、定石のひとつ「イメージ」についてです。
ナイスプレーを生み出す5つのステップ
ゴルフは、一打一打の積み重ねです。
その一打一打は、すべて次の5つのステップを踏んで実行されます。
その5つとは、「①情報収集」→「②目標設定」→「③イメージ」→「④決断」→「⑤実行」の5つです。
まずは「①情報収集」です。
ここでは、ピンまでの距離や高低差、ボールのライ(状態)、風の向きや強さ、バンカー等の障害物の有無などの情報を収集し、どう攻めていくかを判断する材料にします。
つまり「現状把握」です。
現状を把握したら、②目標を設定します。
そして目標に向けてこれから放つショットを「③イメージ」します。
「情報収集」で得られた情報を基に、さまざまな選択肢を考えます。
イメージしたショットがハイリスクであったり、自分の実力では実現困難だったり、あるいは逆にあまりに消極的なものはふるい落とし、自分なりにベストな攻め方がイメージできるまで、目標設定とイメージを繰り返します。
そして、いくつかの選択肢の中からベストな方法を選択します。
これが「④決断」です。
ここまでのステップを踏んだ上で、はじめて実際にボールを打つ「⑤実行」に移すことになります。
カーナビを利用するときも、エンジンをかける→ナビに目的地を入力する→複数のルートの中からベストを選択する→車を発進させる、といった一連のステップを踏みます。
これと同じで、コースに出た時に行われるべきナイスプレーの定石とは、これらのステップが正しく行われることにつきるのです。
一打にかけるイメージの時間は?
「①情報収集」と「②目標設定」は、ある程度のコース経験者であれば、誰もが行っているでしょう。
問題は「③イメージ」です。
アベレージゴルファーはイメージを疎かにしているケースがとても多いと感じます。
イメージとは、「心(頭)の中に思い浮かべる姿や情景」です。
これから打とうとするショットの弾道や、ピンに寄っていく様などを、頭に思い浮かべるのです。
これは出来るだけリアルな方が良いです。
アベレージゴルファーが一打にかける時間は、30秒ぐらいです。
これはボールの後方からターゲットを確認したり、素振りをしたりの時間も含めてです。
このうちイメージにかけている時間は15秒程度、つまり半分ぐらいです。
コース経験の少ない初心者は、イメージする余裕もなく、あせあせとプレーしているかも知れません。
一方、トッププロは、勝負のかかったショットの場合、一打あたり57秒ぐらいの時間をかけます。
このうちイメージにかける時間は実に38秒といわれています。
ショットにかる時間の3分の2を、イメージすることに使っているのです。
つまり、上級者になればなる程、イメージにより多くの時間をかけていることが分かります。
果たしてあなたは、どれくらいイメージに時間をかけているでしょうか?
日常的に行っているイメージ
「なかなかイメージするのは難しい・・」そう思われる方は少なくないかも知れません。
しかし、この「イメージする」という行為は、誰もが無意識に日常的に行っている思考なのです。
例えば、洋服を買いに行く場合、お店で気に行った洋服を見つけると、誰もがそれを着た自分の姿をイメージし、買うか買わないかの判断材料にします。
スーパーで夕飯のおかずを買い物する場合も、作る料理をイメージして買い物をします。
肉ジャガを作るのであれば、肉ジャガを料理しているシーンや、ご主人が美味しそうに肉ジャガを食べているシーンをイメージしながら、お肉やじゃがいもを買い物かごに入れているのです。
車を買う場合も、その車を運転している自分の姿や、その車で家族と出かけるシーンをイメージしますし、旅行の計画を立てるときも、旅先での楽しいシーンをイメージしながら計画を立てるものです。
このように、人はこれから起こる出来事をイメージし、それが自分にとって好ましいのか、そうではないのかを判断し、行動しています。
それだけイメージというものは、脳に強烈に訴えかけ、その後の行動を左右するものなのです。
脳をだましてナイスショット!
これから打とうとするショットをできるだけリアルに、かつ鮮明にイメージできれば、それが実現する可能性は格段に高まります。
特にアプローチやパッティングのように、微妙なタッチが要求されるシーンでは、この「イメージ力」の差が大きく影響します。
なぜでしょうか?
人間の脳は、「過去」と「未来」の区別が付きません。
また「現実(リアル)」と「非現実(バーチャル)」との区別も付きません。
そのように言うと、「そんなコトはない!私は過去と未来の区別ぐらいつく!」と反論されそうですが、実はそうではないのです。
試しに、今朝、歯を磨いたときのシーンを思い出し、イメージしてみてください。
そして次に、明日の朝の歯を磨いているシーンを想像し、それを今からイメージしてみてください。
一方は、今朝歯を磨いたシーンなので「過去」の出来事、もう一方は、明日の歯を磨くシーンなので「未来」の出来事です。
この二つの歯を磨くシーンに、何か違いがあるでしょうか?
あなたの脳は、この二つのシーンの違いが分かるでしょうか?
今朝は出張先のホテルで歯を磨いたが、明日は自宅で歯を磨く、というように、それぞれのシーンに決定的な違いがあれば、その違いは区別できるでしょう。
しかし時間的な区別、それがすでに起きた過去のものなのか、これから起こる未来のものなのかは、脳は判断できていないのです。
同じように、脳でイメージしたものは、「現実(リアル)」と「非現実(バーチャル)」の区別もついていません。
同じシーンをイメージしても、それを実際に経験したシーンなのか、想像上のシーンなのか、脳の中でその区別はついていません。
そして、人間の特性として、『一度成功経験があれば、再び同じことにトライしても成功しやすくなる』というものがあります。
ですから、これからやりたいコト、成功体験を脳の中でイメージしておくと、それはすでに経験し、成功したこととイコールになります。
よって、実際にそれをやったときに、成功する確率がグンと上がるのです。
つまり、「これは一度成功しているから大丈夫!」と、脳をだましてやるわけです。
ショットを打つ前、これから打とうとするショットをイメージするとナイスショットがでやすくなるのは、このような脳の特性があるからなのです。
逆にミスショットを考えるとその通りになってしまうのも、この脳の特性を知れば頷けると思います。
人間の「イメージ力」には、無限の可能性があると言われています。
皆さん脳の中に潜在的にひそんでいる「イメージ力」を働かせ、レベルアップを図りましょう。
次回もお楽しみに。