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『コラム』

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サン・クロレラ
2023/06/20

アスリートフードマイスターに聞く!スポーツのための食事 【流通経済大学トライアスロン部酒井選手】

アスリートフードマイスターに聞く!スポーツのための食事
 

流通経済大学トライアスロン部で活躍する酒井選手の食生活をアスリートフードマイスターがチェック!

 

今回チェックするのは、流通経済大トライアスロン部に所属する酒井優真選手(19)。

2022年の日本学生トライアスロン選手権で女子7位入賞を果たすなど、今後ますますの成長が期待されている。

そんな若き女子アスリートに向けて、管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格をもつ奥村(サン・クロレラ生産開発部研究開発グループ所属)が、「糖質の量」や「食事の時間管理」などについてアドバイスを送った。

1日の食事記録をチェック

【アスリートフードマイスター 奥村さん(以下敬称略)】はじめに、回答いただいたアンケートを整理します。

酒井選手は身長162㌢、体重52㌔(空腹時)。

トレーニング頻度は週6~7日です。

毎食野菜を食べていて栄養バランスへの意識の高さが伺えます。

1日の平均睡眠は約7時間で、時々睡眠不足を感じているとのことです。

これらのポイントも踏まえて、今回チェックしていきたいと思います。
なお1日の食事・活動記録は以下の通りです。

 
アスリートフードマイスターに聞く!スポーツのための食事

コンディション維持に欠かせない野菜

【奥村】食事メニューをみても、酒井選手が自身のコンディションを維持する上で必要なエネルギーや栄養バランスを意識している印象を受けました。

なかでも特に良い点は、毎食野菜を意識して食べているところです。

普段の生活から野菜を食べることを習慣づけるために、献立にサラダをプラスするほか、味噌汁やキッシュ、シチュー、焼きうどん、ホットサンド、カレー等の具材に野菜を入れているのは、大変工夫していると思います。

野菜は、体の調子を整えるビタミン・ミネラルを含み、さらに腸内環境を整える食物繊維を含むため、コンディション維持に欠かせないものです。

野菜にはキャベツやレタス、白菜、玉ねぎなどの淡色野菜と、トマトやブロッコリー、ほうれん草、にんじんなどの緑黄色野菜があり、それぞれの栄養価に特長があります。

まず淡色野菜は、切ったときの中身が白っぽく薄い色をしており水分や食物繊維を多く含みます。

食物繊維が多いことから、腸内環境を整える機能が知られています。

緑黄色野菜は色が濃く、抗酸化成分のβカロテンやビタミンCを多く含み、疲労の原因となる物質を軽減してくれる効果が期待できます。

酒井選手の場合、一日のうちに淡色野菜と緑黄色野菜のどちらも食べていたので、ぜひ今後も継続してほしいと思います。

 
アスリートフードマイスターに聞く!スポーツのための食事

左:朝食 中:昼食 右:夕食

エネルギー源となる糖質の量と水分摂取の大切さ

【奥村】トライアスロンはスイム、バイク、ランを連続で行う競技で、練習がある日は全種目のトレーニングを実施しているため、消費するエネルギー量は多くなります。

このコーナーでも、これまでにトライアスロン競技のアスリートの食事を複数回チェックしてきましたが、共通して言えるのは朝食を少なめに食べる傾向があるということです。

その理由は、普段からできるだけ少ない食事量で練習し、体内に貯蓄している脂質からエネルギーを上手く作り出せるようにしているためと聞いています。

運動時のエネルギー源は糖質と脂質です。
ただし、脂質をエネルギーとして利用するには糖質が必要です。

糖質は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられていますが、貯蔵量は脂質と比べて少ないことが知られています。

貯蔵している糖質が枯渇してしまうと、脂質からエネルギーを作りだすことができなくなります。

そのため、運動前に糖質の貯蔵量を最大限増やしておくことが重要です。

そして、練習中に疲労を感じる場合は日常の食事量に不足がないかどうかを確認する必要があります。

 

酒井選手の場合、食事記録をみると朝食は卵かけご飯にお味噌汁、納豆のメニューになっており最低限の内容だといえます。

また昼食を食べるまでに、スイム練習2時間/バイク練習1時間と多くのエネルギーを使うトレーニングをしているため、練習中に疲れを感じる場合は体調を考慮してエネルギー源となる糖質を含む食品を適宜摂取することが望ましいです。

具体例を挙げると、運動直前や運動の合間に摂取する場合は、液体で比較的消化が早いスポーツドリンクやゼリー飲料、オレンジジュースなどが推奨されています。

運動中に胃腸に負担をかけずにエネルギー源となる糖質を補うことができます。
ただ、ご自身の好みに合う液体飲料を選んでください。

運動の合間に30分以上の時間がある場合は糖質を含む固形の食品を食べても良いと思います。

酒井選手の練習メニューを見ると、スイム練習、バイク練習を終えて、初動負荷トレーニングを行うまでに1時間半ほどの時間があります。

練習後に疲れを感じる場合は、おにぎりやバナナ、さらにまんじゅう、カステラなどの脂質が少なく胃腸に負担をかけない和菓子などがお勧めです。

エネルギー源となる糖質を補給することはパフォーマンスを維持する上でも重要ですが、それと同じくらいに水分摂取も必要不可欠です。

運動中は体内の水分が失われますが、特に発汗により体重の約2%にあたる水分が減少すると、競技パフォーマンス自体が低下するといわれています。

それを防ぐためにも競技前後で体重を測定し、約1kgの体重減少があった場合は前述した糖質を含む飲料を含め、運動前や運動の休憩中に細かく水分補給することを意識してほしいと思います。

良質な睡眠を確保するための食事メニューと時間

【奥村】運動パフォーマンスを維持する上でコンディションを整えることが大事になりますが、そのコンディションを良好に保つためにも栄養バランスの取れた食事と質の高い睡眠は欠かせません。

酒井選手へのアンケートでは、1日の平均睡眠時間は7時間で、時々睡眠不足を感じると回答をいただいていました。

食事時間をみると夕食が夜9時以降になることが週4~5日あります。

良質な睡眠を取るためにも夜9時までには夕食を済ませることが大事になります。

もちろん練習スケジュールの都合上、どうしても夜9時以降に夕食を摂る場合もあると思いますが、その際はおにぎりやサンドイッチなどの補食を食べて食事量を分ける方法もあります。

分食を勧める理由は、なるべく就寝時間近くに食べる量を減らすことで、胃腸に極力負担をかけないようにするためです。

胃腸に負担がかかった状態で寝てしまうと、眠りが浅くなってしまいます。

夜9時以降に食べるメニューとして控えたいものは、脂質を多く含む食材である豚バラ、ベーコンのほか、油を多く使用する揚げ物やカレーライスに加え、生クリームやチーズを多く使う料理です。

また、血糖値の上昇や脂肪の吸収を抑えるためにも、食物繊維が含まれるきのこや葉物野菜も摂ることを意識してほしいと思います。

最後に、体重を測定する頻度は週に数回でしたが、毎日測ることを習慣づけてほしいです。

毎日体重を測定することで、日々の食事量と消費したエネルギーのバランスが合っているのかを確認できます。

測定のタイミングとしては、朝起きてトイレをした後がお勧めです。

まとめ

学業とトライアスロンの両立で多忙な日々を送るなかで、自炊で栄養バランスの取れた食事を心がけている酒井選手。

今回のアドバイスに対して、「野菜を意識して摂っているところに気づいてもらえて嬉しい。これからも野菜を沢山摂ることを心がけていきたい」と笑顔を見せた一方で、「きのこ類や糖質の摂取は意識が足りていなかった。時間帯で摂る物を考え、バランスのいい食事をしていこうと思う」とさらなる改善へ意欲を示した。

まずは目標の「日本選手権入賞」に向けて、食事も含めてパフォーマンスに磨きをかけていく。

 

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