『コラム』
- サン・クロレラ
- 2024/09/10
アスリートフードマイスターに聞く!【バレーボール編 髙橋藍選手】
男子バレーボールプレイヤーの髙橋藍選手(23)。
2021年東京五輪後に日体大に在籍した形で海を渡り、2023-2024はイタリアリーグ・セリエA1部のモンツァで主力として活躍した。
2020年9月に栄養チェックを実施しており、今回が2回目。
管理栄養士・アスリートフードマイスターの資格をもつ板津が前回のアンケート結果と比較しながら、現状の食生活習慣等についてチェックし、さらなる改善点についてアドバイスを送った。
前回結果との比較&食事記録をチェック
【アスリートフードマイスター 板津さん(以下敬称略)】はじめに、2回目のアンケート結果について前回の結果と比較しながら整理していきます。
身長188センチ、体重84キロ(空腹時)。約4年前の77.6キロ(同)から体重も大幅に増えており、フィジカル面での成長がうかがえます。また前回のチェックでは、下記の2点についてアドバイスしていました。
①良質な睡眠を確保するために、21時以降の夜食を控えて、昼食にサラダor 果物をプラスしてエネルギーや栄養素を補う。
②骨の形成に関わる栄養素を多く含む牛乳・乳製品の摂取頻度を週 4~5 日に増やし、ほうれん草・小松菜等の青菜を1日1品以上摂取する。
これを踏まえて今回の結果をみてみると、現在は果物や牛乳・乳製品を積極的に摂取し、夜21時以降の食事の頻度は減っていて、食事内容や食習慣に良い変化が見られました。
コンディション管理において、より高い意識を持って取り組むことができていると思います。
なお1日の活動記録は以下の通りとなっています。
パフォーマンスを発揮する献立
【板津】 朝食と夕食はお母様の手作り、昼食はチームのレストランで摂られているとのことでした。
食事写真を確認すると、「主食」、「主菜」、「副菜」が毎食揃っています。また「牛乳・乳製品」、「果物」はそれぞれ2回ほど摂れており、1日のなかで多様な食材を食べている点が素晴らしいです。
上記の 5 つが揃った食事が健康な体を維持し、パフォーマンスを発揮する理想的な献立です。
「主食」、「主菜」、「副菜」は毎食、「牛乳・乳製品」、「果物」は1日に2回程食べることが望ましいとされています。
【写真左:朝食】ご飯、味噌汁、卵焼き、いんげんごま和え、鶏ハム、ちりめん山椒、キウイフルーツ
【写真中:昼食】パスタラグー、鶏ハムサラダ、キウイヨーグルト、パン ※チームのレストランでテイクアウト
【写真右:夕食】ご飯、チキン南蛮、野菜サラダ、ブロッコリーパスタサラダ、サン・クロレラA
エネルギー切れを防ぐための補食
【板津】 3食をバランス良く摂れている一方で、昼食と夕食の間が約 8 時間空いていて、その間に3時間の練習をされているため練習中盤から後半にかけてエネルギー切れのリスクがないかが気になりました。
運動時にエネルギーが足りなくなってしまうと、スタミナ切れを起こしたり、集中力が低下したりする恐れがあります。それに伴ってミスやけが、疲れやすくなるといった可能性が高まるとされています。
髙橋選手は基本的に補食を摂らないとのことですが、もし練習中に空腹を感じたり、翌日の疲労感が強かったりする場合は取り入れることをお勧めします。
補食を食べるタイミングや内容については、練習の合間にスポーツドリンク、ドリンクタイプのゼリー、果汁100% のオレンジジュース、飴、バナナなど、糖質を多く含み素早く消化吸収される食品が望ましいです。
もちろん3食で十分な食事量が摂れていれば、補食は必ずしも必要ではありませんが、上手に活用することで競技のパフォーマンスアップやけがの予防にも繋がるため、自身の体調と相談しながら検討してみてください。
リハビリ中の食事と体重管理
【板津】 髙橋選手は今年1月に左足首をけがしています。すでにリハビリ期間を終えて試合にも出場していますが、参考までに安静期間およびリハビリ中の食事管理についてポイントを説明します。
安静中やリハビリ中も「主食」、「主菜」、「副菜」の揃ったバランスの良い食事を心がけ、加えて骨や筋肉をつくるために欠かせないカルシウムやビタミン D、ビタミン C などの栄養素を多く含む食材を積極的に摂るようにしましょう。
今回の髙橋選手の食事では1日の中でこれらの食材を多く取り入れることができていました。
<カルシウムを多く含む食材(骨を形成する材料になる)>
・牛乳、チーズやヨーグルトなどの乳製品
・小魚
・ほうれん草や小松菜などの青菜
・大豆製品
<ビタミン D を多く含む食材(カルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける)>
・鮭、いわし、あじなどの魚
・しいたけ、まいたけ、きくらげなどのキノコ類
<ビタミンCを多く含む食材(骨、関節、腱、じん帯を構成するコラーゲンの合成に関わる)>
・みかんやオレンジ、キウイフルーツ、イチゴなどの果物
・ピーマン、ブロッコリー、キャベツなどの野菜
・じゃがいもやさつまいもなどのイモ類
【板津】 続いて、安静期間やリハビリ期間は体重の管理がとても重要です。早期回復のためにはバランス良くしっかりと食べることが大切であるものの、体重や体脂肪が増えると通常練習に戻った際に動きにくさを感じたり、体に負担を掛けたりする可能性が高くなります。
1日に必要なエネルギー量は、基礎代謝量や生活強度、けがの程度によっても異なるため、体重や体脂肪率を毎日計測し、体の状態と食事量を観察しましょう。
主食の量を増減させたり、主菜や副菜に使用する食材や調理法、調味料を工夫したりすることで、エネルギー量を調整することができます。
参考文献:樋口 満 編著(新版コンディショニングのスポーツ栄養学.市村出版,2009.)
髙橋藍選手は今回のアドバイスを受けて「リハビリの際の体重管理の重要性がよくわかりました。」と語った。
前回のアドバイスを踏まえて夜21時以降の夜食を控え、果物や牛乳・乳製品を積極的に摂取できている髙橋藍選手。
フィジカル面の成長や技術パフォーマンスの向上だけでなく、食習慣でも着実に改善ができていることが分かった。
また今回、補食やリハビリ期間中の食事について板津からのアドバイスを受け、さらなる進化のヒントを手にしたに違いない。
▽前回の記事はこちら
アスリートフードマイスターに聞く!~スポーツのための食事~ バレーボール編 髙橋藍選手
▽他のアスリートへのアドバイスはコチラ!
アスリートフードマイスターに聞く!~スポーツのための食事~コラム