『コラム』
- ニセコインターナショナルクリニック
- 2025/01/16
スキー、スノーボードシーズン到来!【DoctorTのスポーツエクササイズ医学】
こんにちはDoctorTです。ウインタースポーツシーズンがやってきた今、もう一度、安全にスキーやスノーボードを楽しむために大事なことを振り返っておきたいと思います。
自宅でトレーニングをして疲れにくい、ケガをしにくいからだ作りをしておくのはいかがでしょうか?
長い目で見てのトレーニングはもちろん大切ですが、間際になってできる予防策もあるのでトレーニングがしっかりできなかったひとも、安全にスキーやスノーボードを楽しめるように以下のことを実践しましょう!
カリフォルニア大学websiteを参考にしています。
ちなみにスキーは膝のケガ、スノーボードは手首のケガが多い傾向にありますが、予防策は共通のものが多いです。
簡単で当たり前な予防策
簡単なのに、実際に守れていないことが多いと思いませんか?おそらくそういった気の緩みが事故やケガを招いていると言えそうです。ここでは、これらがなぜ大切かをもう一度振り返りましょう!
自分の体の準備とケア
行くと決めたら体の準備を
滑りに行くと決めたら運動をしましょう。確かに週末の娯楽のひとつかもしれませんが、ゲームセンターに行くのとは違い、それなりの体力と運動能力を必要とします。運動不足で行くと楽しめないどころか、ケガの原因にもなるので大切なポイントです!
ウォーミングアップ
筋肉が冷えているとケガをしやすいです。手足を徐々に大きく回したり、体をねじったり(→ダイナミックストレッチ)、5分ほど歩いたり軽くジャンプして体を暖めましょう。そして体慣らしに緩いコースを滑って準備完了です!
急激な運動はケガだけでなく、心臓や肺にも負担がかかります。ウォーミングアップでケガも心臓発作も防ぎましょう。
水分補給(脱水予防)
滑る前、休憩時、滑った後に水分を補給しましょう。体が水分不足になるほど体の動きは悪くなります。コーヒーやアルコールは利尿作用(おしっこを作るのを促す)があり、水分のプラスではなくマイナスになるのでご注意を!
ルールを守る
合流マークの確認、他のスキーヤーやスノーボーダーに斜面を譲るなど、守っていれば防げた事故は少なくないと思います。
疲れ・体調に合わせたコース選びを
疲れてくるとからだを適切に動かせなくなり、ケガが起きやすくなります。特にケガが多いのは、疲れている「その日の最後の1本」なのだそうです。
適切な道具
1)ウェア
防水・防風機能の付いた、軽くて締め付けないウェアを着ましょう。重ね着をすることで温度調整がしやすくなります。
2)ビンディング
自分のレベルに合わせて設定してもらいましょう。身長体重に加え、スキーレベルによってビンディングの設定は変わります。ケガの診察をするとき、スキーが外れたかどうかも聞きます。それは、適切なタイミングで板が外れないと重症になりやすいからです。
3)ゴーグルとヘルメット
ゴーグルは、ぶつかったときの物理的な保護だけでなく、紫外線や乾燥からも目を守ります。頭蓋骨や脳のケガは、頻度は高くなくても起きると深刻になりがちなため、保護することを勧めます。 私も今年からヘルメットに変えましたが、被ってそれほど違和感はありません。滑った後にヘルメットに付いていたキズを見て、被っておいてよかったとしみじみ思いました。
ニセコはほとんどの人がヘルメットを被っていた一方で岐阜のスキー場はヘルメット装着率が低かったです。これからはヘルメットがスタンダードになっていくと思います。ヘルメットは大げさかなという躊躇より、頭の安全を優先したほうがいいですね!
周りの環境
・ 天気予報、なだれ注意報、コース内の看板を確認して危険なコースは避けましょう。
・ まだらなアイスバーンに注意しましょう。
・ 天気や気温、雪質をみて、危険だと思ったら潔く中断、中止にしましょう。
ケガに備えて
・ 誰かと一緒に滑り、相手が見える範囲で滑っていきましょう。
・ 自分の能力と疲れ具合にあったコースを選びましょう。自分にとって難しいチャレンジコースを1日の最後に持ってくるのではなく、体が慣れて、それほど疲れていない午前中がおすすめです。昼食の休憩をした後は疲れを感じたり、眠くなったりします。
・ ケガをしたときに連絡もしくは行くべき、スキー場のレスキューや救護所を確認しておきましょう。
まとめ
・ ケガの予防策は簡単で、予防策を実行して防げたケガは少なくない
・ 1日の最後に難しいコースに挑戦しない
・ ゴーグルとヘルメットをつける
・ ビンディングはスキルに合わせた適切な衝撃で外れるようにする
・ 状況をみて潔く危険の回避やスキー自体の中断を
DoctorT
2020年英国UCLでスポーツ医学の修士課程を修了しました。大切だけどあまり知られていないスポーツ医学情報を発信します。
北海道大学卒業。家庭医療専門医。後期研修中、米国での家庭医によるスポーツ診療を知り、興味を持つ。医師12年目に留学を決意。