『コラム』
- 野村整形外科
- 2025/12/10
【野村整形外科】日常生活・スポーツで起こりやすい外傷・障害 リハビリテーション 腰椎椎間板ヘルニア編
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリテーション
前回は腰椎椎間板ヘルニアの予防方法についてご紹介させていただきました。
今回は腰椎椎間板ヘルニアのリハビリテーションについてご紹介します。
症状について
腰椎椎間板ヘルニアとは
背骨の骨と骨の間にある椎間板の中央にある髄核が飛び出すことによって周りの神経を圧迫し、腰やお尻、足のしびれを引き起こす疾患です。20代から40代に多く、特に男性に好発する傾向があります。
症状
腰痛:腰やお尻に突然の痛みが出現することがあります。
下肢痛・しびれ(坐骨神経痛):痛みやしびれが足の裏や太ももまで広がる場合があります。
歩行障害:足に力が入らなくなったり、歩きにくくなったりすることがあります。
排尿・排便障害:まれにヘルニアによる神経の圧迫が強く、排尿や排便に障害を起こすことがあります。
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ここからは、リハビリテーションについて紹介します。
リハビリテーションのポイント
1. 日常生活での姿勢や動作に気を付ける
2. 筋力強化とストレッチによる負担の軽減
3. 適度な運動・ストレッチの習慣化
以上三点が重要になります。
1. 日常生活での姿勢や動作に気をつける
・立つときは、耳、肩、腰、膝、くるぶしが一直線になるように意識します。
・長時間同じ姿勢を続けないように注意しましょう。
2. 筋力強化とストレッチによる負担の軽減
適切に筋肉を鍛え、柔軟性を向上させることが重要です。特に体幹を鍛えることが重要になります。鍛えることにより椎間板の負担を減らし、痛みの軽減に繋がります。
また、痛みに合わせたリハビリテーションが必要です。
急性期(痛みが強い時期)はできる限り、腰に負担をかけないことが重要です。
ポイントとしては
・無理に前屈しない(椎間板への圧が増える)
・横向きで膝を少し曲げた姿勢で休むと楽なことが多い
・長時間同じ姿勢を避ける(30分ごとに小休憩)
この3点を意識しましょう。急性期にできるエクササイズとしては、ドローインなどで腰の負担を抑えるための動作を中心に行います。
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回復期(痛みが軽減してきた時期)は、体幹、背筋などを中心に少しずつ体を動かしていきます。
●ドローイン 【腹斜筋、腹横筋】

・仰向けに寝て、両膝を90°ぐらいに曲げます
・鼻から息を吸い、おなかを膨らませます
・口から息を吐き、おなかをへこませます
・5~10秒のキープを5回程度行いましょう。慣れてきたら10回程度まで増やしていきましょう
・1日に2~3セット行いましょう

●バードドッグ【腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋、大殿筋】

・四つ這いの状態になります。手は肩の真下に来るように、膝は股関節の真下にくるようにしましょう。
・対角線の手足を伸ばします(右腕を上げる場合左足を上げる)
・体を一直線になるように意識しましょう(背中のラインに腕、足がくるように)
・左右交互に10~20回行いましょう
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予防期(痛みが落ち着いた時期)は少しずつ全身を動かしながら、体幹、下肢筋力、下肢柔軟性などを鍛えていきます。
● ヒップリフト【殿筋群、ハムストリングス】

・仰向けに寝て、膝を軽く曲げます
・お尻を締めることを意識しながら、お尻を持ち上げましょう
・膝から肩までが一直線になるように意識しましょう
・最初は10~15回行いましょう。慣れてきたら15~30回を目処に行いましょう。
・1日に2~3セット行いましょう
●デッドバグ【腹横筋、腹斜筋】 



・仰向けに寝転がります
・両腕は肩の真上に伸ばします、膝は90°に曲げ腰の真上にくるようにセットします。
(この時にドローインを意識しましょう)
・息を吸いながら、片腕は頭上にまっすぐ伸ばしましょう。片脚はまっすぐ地面につく寸前まで伸ばしましょう。腰がそらないように意識しましょう。
・息を吐きながら、元の姿勢に戻ります。
・左右交互に10回ずつ行いましょう。
● キャット&カウ(背骨の可動域改善)【僧帽筋、菱形筋、腹直筋、大殿筋】


・四つ這いになります。肩の真下に手が来るようにします。股関節の真下に膝がくるようにします。
・息を吸いながら、おへそを床に近づけ、目線は前を向くように上体をそらします。
・息を吐きながら、おへそを覗き込むように上体を丸めていきます。
・呼吸に合わせて動くようにしましょう。
・10回を1日に2~3回行いましょう。
● スクワット 【大殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋】

・脚が肩幅になるように立ちましょう
・その状態から股関節、膝関節、足関節を曲げていきます。
・足裏の母指球(親指の付け根)、小指球(小指の付け根)、踵の三点を意識しながらおろしましょう。
・大腿部(太もも)が床と平行になるまでおろしましょう。
・この時、膝が過度に前にでないことを意識しましょう。
・動作中に膝が内側にはいらないように意識しましょう。
・5~10回を2~3セット行いましょう。動作としてはゆっくり行いましょう
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3. 適度な運動・ストレッチの習慣化
● プランク【腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋】
・うつ伏せの状態になります
・肩の真下に肘がくるように姿勢をとります
・その状態から体を浮かせ、肩から足までが一直線になるように姿勢をキープします
・30秒から1分キープしましょう
● サイドプランク【腹斜筋、腹横筋、大殿筋】

・横向きに足を伸ばし寝転がります
・肩の真下に肘をおき、体を持ち上げます
・肩から足までが一直線になるように姿勢をとりキープします
・30秒から1分キープしましょう
● 股関節まわりのストレッチ
● 臀部のストレッチ

・椅子に座ります
・片脚のくるぶしがもう一方の膝の上にくるように乗せます
・上体をまっすぐに伸ばし座ります
・息を吐きながらゆっくりと上体を前に倒します
・臀部が伸びているのを意識しながら伸ばしましょう
・15秒~30秒ほど伸ばしましょう
● ハムストリングスのストレッチ

・脚を開き座ります
・片方の脚を曲げ、あぐらをかくように座ります
・伸ばしている脚の方に体を倒します、太ももの後ろが伸びていることを意識しながら伸ばします
・15秒~30秒ほど伸ばしましょう
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まとめ
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリでは、腰の症状や痛みの程度に合わせて負担の少ない運動を選び、無理のない範囲で行うことが最も重要です。
あわせて、日常的に体を動かす習慣をつくり、ストレッチや軽いエクササイズで筋肉や関節の柔軟性を保つことが、症状の改善や再発予防に役立ちます。



































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