『コラム』
- ラグスタ株式会社
- 2021/06/06
北海道オール・オリンピアンズ GM 鈴木靖さん【Cittaインタビュー】
先日、包括連携協定を締結させていただいた北海道オール・オリンピアンズ様の活動を、これからCittaでもたくさん配信していきます。
今回は、『そもそも北海道オール・オリンピアンズとは?』という皆様に向けて、色々な質問をさせていただきました。
オリンピックの舞台で活躍した選手たちのセカンドキャリアとして
ーーでは早速、北海道オール・オリンピアンズが誕生したきっかけを教えてください。
【鈴木靖さん(以下敬称略)】 北海道は他の都府県よりもオリンピック選手が多いです。
しかし、オリンピックに出場するまでに凄く苦しい練習や様々な経験をしている方や、オリンピックの舞台で活躍した選手たちが引退してこれといった活動をしていないということに、私自身非常にもったいないと感じていました。
そこで、スピードスケートについては82名のオリンピアンがいるので、スピードスケートの選手だけで北海道オール・オリンピアンズのような組織を作ろうと思いました。
ですが、スキーや陸上をはじめ、たくさんの方々からお声掛けいただいて、『じゃあ、みんなで作ろうか!』ということになり、2012年4月1日にスタートしました。
このような組織があれば、他の団体・自治体の方がアクセスしやすくなったりもするので、そういった組織を作ってよりお互いがマッチングできるようにということも必要だと思いました。
ーー北海道オール・オリンピアンズは団体名が何度か変わっているとお聞きしました。その経緯はどういったものだったのでしょうか?
【鈴木】 今年でちょうど10年目に突入しましたが、当時私の後輩である橋本聖子さんを代表に発足しました。当初、この団体が活動するにあたり名前が必要だということになり、最初はオリンピアンだけが集合した団体でしたので、『北海道オリンピアンズ』という名前でした。
しかし途中でパラリンピアンの方からも一緒に活動をしたいとお声掛けいただき『北海道 オリンピアン・パラリンピアンズ』という名前になりました。
その後聴覚障害を持っているデフリンピアンの方なども併せて活動することとなり、そうなると非常に長い名前になってしまうので『オール』という言葉を使って『北海道オール・オリンピアンズ』という名前になりました。
ーー10年間で色々な名前が使用されていたのですね!
【鈴木】 はい。さすがにもう変わらないですが(笑)
北海道に縁のある方が伝えることに意味がある
ーー北海道オール・オリンピアンズに所属されている方々は、北海道出身の方だけではないかと思うのですが、そちらについてはどうでしょうか?
【鈴木】 北海道にゆかりのある方が所属しています。
出身は北海道ではないけれど、北海道を拠点として活動されている方や、北海道の実業団に所属しながらオリンピックに出場された方など、様々な形で北海道にゆかりのある方が集まっています。
同じ道産子として、北海道に縁のある方が色々なことを伝えることにより、もっと親近感が湧くのかなと思っています。
ーーなるほど、北海道にゆかりのある方々がお世話になった北海道を盛り上げられているのですね。北海道オール・オリンピアンズでの主な活動について教えてください。
【鈴木】 コロナ禍でもその前でも、基本的に活動理念は同じです。
特に多くなってきたと感じるのは、このような形の取材やSNSを通した配信が最近は凄く増えてきています。
今後コロナが終息した後に通常の状態に戻ったとしても、対面のイベントと併せてSNSを活用した動きは継続していくべきだと感じています。
オリンピックでより感動や大きな夢を持ってもらえることを目標に
ーー様々な企業でもSNSが活用されていますし、まさに今の時代にあった活動ですね!皆さんの活動の中心であるオリンピック教育についても詳しくお伺いしてよろしいでしょうか?
【鈴木】 札幌市と札幌市教育委員会が中心となり、毎年100校以上を対象に行っている活動です。
昨年は45名のオリンピアン・パラリンピアンの皆さんに協力していただきました。
また、札幌市外でも北海道教育庁が中心となり、全道の高校を対象に実施の準備をしているところです。
これは、2030年のオリンピック招致に向けて、また1972年の札幌オリンピックを開催した都市として、そのレガシー(伝統)を子供たちに伝えていかなくてはいけないというところで、大きく変わっ た札幌の街の更なる飛躍という面でも2030年のオリンピックを目指しています。
オリンピックを開催するということはどういったことなのか?ということを子供たちに知ってもらって、実際のオリンピックでより感動や大きな夢を持ってもらえることを目標に取り組んでいる活動になります。
オリンピアンをより身近に
ーーオリパラ教育以外にも様々な活動をされているとお伺いしました。具体的にはどのような活動がありますか?
【鈴木】 オリパラ教育以外にも、各企業における社員研修や企業交流会など色々な場面でお話をさせていただいています。
企業と協力してトークショーを実施したり、植樹やゴミ拾い等のイベントも行っています。
札幌市の各地と連携し、健康増進事業も開催するなど、子供から高齢者まで多くの方々と触れ合う機会も増えています。
『オリンピアン』というとなかなか敷居が高く思われてしまいが、何かを依頼するとお金がかかるだとか、依頼内容もこれでは通らないのではないだろうかということが懸念されていました。
しかし、そのようなところを全て取っ払った上で「何でも良いので言ってください!」という形にしたことで、川や海のゴミ拾いをはじめ、様々な活動をしてきました。
2021年7月には高齢化が進んでいる地域へ登山道整備のお手伝いをしに行きますし、そういった様々な形で社会貢献をしていくということを目標にしています。
ーーこれからも、時代の背景に合わせて様々な活動が増えていくということですね!
【鈴木】 あとはこのコロナ禍なので、実際の現場でのイベントと併せてSNSでの情報発信も行っていきたいと思っています。
ーーぜひCittaでも積極的に配信させていただきます!北海道オール・オリンピアンズとして今後の目標について教えてください!
【鈴木】 まず、オリンピックができたそもそもの目的というのが『世界平和』だと思っていて、そのオリンピズムについて将来を担う子供たちを始め、北海道の皆さんへ伝えることによって皆さんにやさしい気持ちになっていただいた上で世界平和に繋げるというところが私たちの最大の目的だと思っています。
ただ、これは非常に大きな目標でもあるので、身近なところで言えば『スポーツの力で北海道を元気に!』ということを現在のスローガンにしているので、スポーツの力を通して北海道全体を盛り上げていけたらと思っています。
また、子供達には夢の実現に向けて少しでも協力出来たらという思 いがありますし、高齢者の方々には1日でも長く健康で明るい生活を送ってもらえるような、そんな皆さんのお力になれたらと思っています。
そして、その先には2030年のオリンピック招致というところを目標にしているので、実現に向けて頑張っていきたいと思っています。
札幌にしかない世界の魅力を伝えたい
ーー個人的には2030年のオリンピック招致というところを非常に楽しみにしているのですが、今回の東京オリンピック開催にあたってもコロナ禍という大きな壁があるように、招致に向けて様々な壁が出てくるのではと思っている部分もあります。
そういった大きな壁や問題にぶつかった時の対処法についてもお聞きしたいです!
【鈴木】 そうですね。全てにとってそうなのですが、皆さんの考えも十人十色なので色々な考えがあるかと思います。
そこを1つにして猪突猛進で突き破るということも時には必要でしょうが、やはり札幌には札幌にしかない世界の魅力があって、そういった部分では壁や問題を魅力で突き破っていきたいという気持ちがあります。
最近ではコロナ禍ということもあり、「オリンピックなんてやっても仕方ない」というお声もいただきます。
ですが、世界各国でオリンピックを開催したいと色々な国が手を挙げるのは、オリンピックを開催した後に国が裕福になったり雇用が増えたり、街全体が元気になるからなんです。
お金がかかると言われる面も、よくよく考えてみると未来への投資ということだと私は考えていますし、そもそも日本というのは世界規模で考えても一番環境が整っていると思っています。
ですから、今の一番大きな壁というのは『お金 がかかるから開催しない』というような声に対して、札幌の魅力をどんどん伝えていかなくてはいけないと思っています。
実際のところ、札幌に住んでいる人たちが一番札幌の魅力を把握しきれていないと私は思うので、そういったところも含めて壁を壊していきたいです。
ーー2030年に向けて1日も早くコロナ禍が終息し、札幌市そして北海道の皆さんが一致団結した上で、より良い招致活動ができること願っています!
また、お話を聞いていて印象的だったのが、オリパラ教育のように子供を対象とした活動だけではなく、子供からお年寄りまで幅広い年代の方たちと触れ合う機会があるというところなのですが、そちらについてはでどうでしょうか?
【鈴木】 実際に皆さんと直接会ってお話をすると、『会えて良かった!』と言っていただけることがほとんどで、そう思っていただけるだけでもこのような活動をしていて良かったと思えます。
参加してくださった皆さんが喜んでくれたというお話を聞くと、私たちの活動の意義があるのかなとも思っています。
『夢を叶えた一握りの人間』というだけで特別な存在ではない
ーー実際のところ、私たち一般人からするとスポーツでオリンピックに出場した方たちというのはどこか違う世界の方たちのような気がして、そもそもの生い立ちやスタートラインが違うというような感覚があったのですが、本日色々なお話をお伺いしていくうちに良い意味で『私たちとそれほど変わらないんだ!』と感じました。失礼な言い方かも知れませんが...
【鈴木】 まさしくそう感じてもらえたというのは私たちにとっては非常に嬉しいことです!
私たちも自分たちが特別な存在だはと思っていないですし、ただ『夢を叶えた一握りの人間』というだけであって、みんな最初から天才でもなければ運動ができなかった人もいます。
ですが、そこから一生懸命頑張ってオリンピックに出場したりメダルを獲得したり...皆必ず何かのきっかけがあって頑張ってきたと思うので、そのきっかけを作ったり、教えたりというところも私たちの使命だと思っています。
特にゴールデンエイジと呼ばれる6~12歳くらいの時期に着眼して、色々なスポーツや遊びを経験することが、その後の競技力にも凄く影響するのだということを伝えていきたいと思っていますね。
オリンピアンもたくさんの方とお話をしますが、小さい時から色々な種目をやってきた人が多くて、筋肉や体の使い方を覚えながらスポーツをすることが将来の運動の幅にも関わるのだと感じています。
そういったところではCittaの中でもたくさんのコンテンツを配 信していけたら良いのかなと思っています!
ーー最後に、これから運動・スポーツを始めようとする方へメッセージをお願います!
【鈴木】 スポーツというのはどうしても、激しい運動をして勝ち負けをつけるというイメージが付きがちですが、外に出て太陽の光を浴びながらウォーキングをするということも立派なスポーツだと私は思っています。
スポーツというのは体を鍛えるということだけではなくて、心の健康にとっても素晴らしいことです。
とにかく体を動かして血を循環させ、色々なホルモンを出しながら人間がそもそも持っている抵抗力やそういった力をどんどん出していければと良いと思います。
高齢化社会になってきている現代で、寝たきりで何十年も過ごすより、皆で旅行に行ったり、美味しいものを食べたり、色々なことができた方が楽しいと思います。
そのためには体を動かして健康な心身を保つということが大前提になってくるので、今どうしても億劫で外に出たくないと思っているような方がもしいらっしゃいましたら、ぜひ勇気をもって自分の未来のために一歩前へ進んでいただけると、今後皆さんが幸せな人生を過ごすための活動の1つになると思っています。
PROFILE
鈴木靖(北海道オール・オリンピアンズ GM)
元スピードスケート選手。
現在は札幌市スポーツ局招致推進部に所属し、北海道オール・オリンピアンズGMとしても幅広い活動を通して活躍中。