『コラム』
- 有限会社ゴルフハウス湘南
- 2022/10/24
ゴルフの上達と健康増進を図る身体能力ABCとは?
ゴルフを楽しみ、上達するために不可欠な要素、それは「健康」です。
かつては、ゴルフの上達のためであれば肩や腰を痛めるのはやむを得ない。上手くなりたければ、ダンプカー一杯分のボールを打て!なんて言われた時代もありましたが、それは今は昔の話。
ゴルフの上達には、健康の維持増進のための行動を取るべきです。
そして健康の維持増進のために必要なこと、それは「正しい姿勢」の獲得です。
ゴルフはバランスがとても大切なスポーツです。
姿勢が悪く、バランスの崩れた状態ではナイスショットはままならず、当たってもボールは曲がり、飛距離はでず、ゴルフの上達は難しくなる・・前回のコラム(※)ではそんなコトをお伝えしました。
今回はそのことをもう少し深堀してみましょう。
※前回のコラムはこちらから(2022/10/10掲載)
⇒「姿勢の改善でゴルフの上達と未病の解消を」
ゴルフに必要な身体能力のABC
ゴルフの上達に必要な身体能力って何だと思いますか?
筋力?柔軟性?それとも持久力?
確かにそれらは必要な要素です。
それら要素を集約すると、次の3つにまとめることができます。
私はこれを「身体能力のABC」と呼んでいます。順番に説明しましょう。
【A】 Activation(アクティベーション):可動性・柔軟性
筋肉の柔軟性や関節の可動性、いわゆるカラダの柔らかさです。
ご存じのように、ゴルフスイングは身体軸を中心とする横方向の回旋運動です。
これを個々の柔軟性や可動性を無視し、無理に回そう、無理にねじろうとするのは問題です。
筋肉が緊張し、かえってスムーズなスイングを妨げる結果となるからです。
まずは、動きにくいカラダを解きほぐし、動きやすいカラダにすることが先決です。
そして、筋肉の柔軟性が許す範囲、関節の自然な可動域の範囲内で、無理なくスイングすることが大切です。
【B】 Balance(バランス):両側性・均衡性
均衡性とは、文字通り“バランス能力”です。身体バランスが整い、バランス能力が向上すると運動能力は劇的に向上します。
Cittaのコラムでも何度か紹介した運動補助器具「パワーバランス」は、身体バランスを向上させることでパワー(パフォーマンス)アップを図るという意味です。
では、なぜ身体バランスが整うと運動能力が向上するのでしょうか?
それを知るカギは人間の頭の重さにあります。
我々の体は、宇宙旅行でもしない限り、常に地球の重力下にさらされています。
そして人間は他の動物と違い、頭(脳)が非常に大きくて重たいという特徴を持っています。
この人間の頭、いったいどれぐらいの重さがあるかご存じでしょうか?
人間の頭の重さは、体重の8分の1から10分の1といわれています。
体重60㎏の人でしたら、頭の重さは6~8㎏ぐらい。
ボーリングのボールは6㎏(12~13ポンド)ぐらいですから、それと同じぐらいの重さがあるわけです。
つまり人は、常にボーリングのボールを首の上に乗せて生活しているようなものなのです。
姿勢が良い人は、頭の重さが体の中心軸に対して真っ直ぐかかるため、楽に頭を支えられます。
一方、姿勢が悪い人は、頭が体の軸からずれているので、常にどこかの筋肉を緊張させて重い頭を支えなければなりません。
それが、体に大きな負担となり、身体能力が低下してしまうのです。
【C】Coordination(コーディネーション):連動性・協調性
最後に連動性ですが、これは少々聞き慣れない言葉かもしれません。
人のカラダには、206個の骨と600個あまりの筋肉があります。
連動性とは、これら骨と筋肉がお互いに連携し、協調し合ってスムーズな運動を実現させる能力です。
“コーディネーション能力”ともいいます。
ゴルフの上手な人のスイングは、とても滑らかで美しいものです。
これはコーディネーション能力のなせる業なのです。
身体バランス(Balance)が整い、動きやすい柔軟なカラダ(Activation)を獲得し、思い通りにスムーズに動かせる能力(Coordination)を向上させれば、飛距離が伸び、ショットが安定するだけでなく、滑らかで美しいスイングが獲得できます。
そして身体能力ABCを向上させるには、軸とコアが整った「正しい姿勢」が不可欠なのです。
軸とコアを整えるとは?
「軸」とは、「正中線」と呼ばれる、体の真ん中を上下に真っすぐ貫く体の中心線です。
ゴルフスイングの回旋運動も、この正中線が回転軸です。
スイングの軸は背骨であるという人が多いですが、これは間違いです。
なぜなら、人間の背骨は体の後ろ側に付いていますし、S字にカーブしているからです。
これは、歩いたり走ったりするときの衝撃を緩和し、脳を守るためなのですが、このような形状のものを中心にスムーズな回転をすることはできません。
また、「コア」とは重心(センター・オブ・グラビティ)のことです。
東洋的には「丹田(たんでん)」といい、ヘソから下3寸(約9㎝)にあります。
ゴルフスイングでは、このコアをしっかり安定させることが大切です。
そして“軸とコアが整った状態”とは、コアが正中線上に正しくフィットした状態です。
具体的には、人の体を側面から見たとき、耳穴から直線を降ろすと、その線は肩(肩峰)を通り、腰(大腿骨大転子)、膝(大腿骨外側顆)、そして踝(足関節窩)に達します。
正面から見ると、肩峰ライン、上前腸骨棘(ASIS)ライン、膝(膝蓋骨)の中心ラインが地面と平行なります。
この位置が少しでもズレていると、身体能力が低下するだけでなく、肉体的にも精神的にも悪い影響を及ぼしてしまうのです。
パッティングにも大切な身体能力
身体能力のABCを向上させれば、飛距離が伸びたり、ショットが安定性したりする。
そしてそれには、軸とコアが整った「正しい姿勢」が不可欠であることはご理解いただけたと思います。
ではスコアのほぼ半分を占めるパッティングではどうでしょうか?
比較的動きの小さいパッティングになると、正しい姿勢や身体能力は二の次・・と考える人は少なくないかも知れません。
「パットが入らないのは、パッティングのストローク(パターの動かし方)が悪いからだ!」と考え、「もっと手首を固定しなきゃ・・」「ヘッドアップしてはいけない・・」「パターは真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出さなきゃ・・」と、打ち方ばかりに注力している人を多く見かけます。
しかしパッティングこそ、身体能力ABC、そして正しい姿勢は大切なのです。
首から肩にかけての柔軟性が欠如していると、頭を安定させてのスムーズなストロークは難しくなります。
また体幹部や下肢の筋力が不十分だと、ストロークの際下半身がぐらついて、思った方向にボールを打ち出すことは出来なくなります。
それだけではありません。
姿勢が崩れ、カラダが歪んでいたら、グリーンの傾斜を正しく把握することができず、正確なラインを読むこともままならなくなります。
壁に絵を飾るとき、額縁がなかなか水平にならない人がいます。
人に後ろから見てもらい、これで水平だといわれても、飾っている本人は「えっ?これで水平?」と思ってしまうのです。
これは、常にカラダが歪んだ状態で生活していることで起こる弊害です。
常に歪んでいるが故、水平感覚にズレが生じているのです。
そしてこれと同じ事が、ゴルフのときにグリーン上でも起きているわけです。
よいスコアで上がるには、パッティングは極めて重要です。
そしてパット数を減らすには、ラインを正確に読むことが重要です。
このことは誰もが理解できるでしょう。
にもかかわらず、ラインを正確に読むための「カラダ作り」には無関心。
これではパット数を減らすことは難しく、スコアアップはままならないでしょう。
正しい姿勢を獲得し、スコアアップと健康の維持増進を図りましょう!
次回は、ゴルフがグンっと上手くなる秘密をお伝えします。
お楽しみに。