『コラム』
- 有限会社ゴルフハウス湘南
- 2022/11/14
こどもに戻れば、ゴルフはグンと上手くなる
『ゴルフの上達はスイング技術の向上のみにあらず』
これは私が常に述べていることです。
ゴルフの上達は、スイング技術ばかりを追い求めても片手落ち。
“心技体”を「三位一体」で向上させる必要があります。
心技体とはいうまでもなく、“心(メンタル/Mental)”と“体(フィジカル/Physical)”、そして“技(テクニカル/Technical)”です。
練習場でフォームのチェックばかりをしている人は、テクニカルの部分しか見ていないといえ、これでは上達はままなりません。
Cittaのコラムでは、姿勢の大切さや身体能力のABCなど、体(フィジカル)の部分にフォーカスしてきました。
そこで今回は、心(メンタル)についてお話ししたいと思います。
メンタルは医者では治せない
ゴルフの上達には、体の均衡性(バランス/Balance)を整え、柔軟性(アクティベーション/Activation)を向上させ、スムーズに動かす連動性(Coordination)を高めることが大切です。
これらを“身体能力のABC”と呼びました。
これらを向上させれば、飛距離が伸び、ショットが安定するだけでなく、滑らかで見た目にも美しいスイングが獲得できます。
しかしこんな経験はないでしょうか。
- 練習場ではできるけど、コースではできない・・
- 素振りはカッコよく振れるが、ボールを打とうとすると不格好に・・
このような現象は、脳の使い方が間違っているから起こります。
脳イコール心。
つまり心技体の“心”の部分です。
身体能力のABCを向上させ、技術を錬磨して習得したスイングを、どんな状況でも発揮できるようにするには、“心”つまり、メンタル力が求められるのです。
精神科を訪れ、「練習場ではナイスショットが打てるのに、コースにでるとミスを連発するんです・・」と症状を訴えても、まず相手にしてくれません。
なぜなら、これは病気ではないからです。
というより、いたって正常な心の状態です。
練習でできてコースでできないは、けして好ましい状態ではないにもかかわらず、医師には治してもらえないのです。
プロやトップアスリートであれば、メンタルトレーナーを帯同してメントレに取り組むことができます。
しかし一般のアマチュアゴルファーにそれは現実的ではありません。
フィジカルを向上させるには、トレーニングをしたり、トレーナーの指導を受けたりの方法があります。
効果的な方法の一つとして、運動補助器具を使う「ゴルフフィットネス」は、Cittaのコラムでも紹介してきました。(下記矢印の題名をクリック!)
⇒「ゴルフトレーニングで若返る!」
では医師でも治せないメンタルは、どのように向上させればよいのでしょうか?
ゴルフに求められるメンタリティとは?
私は普段のレッスンの中で、できるだけメンタルについての指導もするようにしています。
しかしそれだけでは十分とはいえません。
なぜなら、レッスンの時だけ単発的に指導を受けても、メンタル力を高めることは難しいからです。
このことは、カラダを鍛えるフィジカルトレーニングと似ています。
ゴルフフィットネスが効果的とはいえ、それを週1回、もしくは月数回のレッスンの時にしか行わないという人は、一時的には身体能力が向上するかもしれませんが、それは一過性のもので、すぐに元に戻ってしまいます。
やはり日常的に運動を習慣づけ、継続的に実践することが大切です。
これはメンタルトレーニングも同じです。
”メントレ”を、日常的に習慣化することではじめて、実践で役に立つレベルにまでメンタル力を向上させることができるのです。
では、ゴルフには、どのようなメンタリティが求められるでしょうか?
それは「ごきげん」です。
人の心には、「ごきげん」と「不機嫌」があります。
「ごきげん」な心の状態は、物事のパフォーマンスが上がります。
ゴルフでも、普段の練習の成果が存分に発揮でき、ナイスプレーが期待できます。
この状態を、応用スポーツ心理学で「フロー」といいます。
一方、「不機嫌」な心の状態は、物事のパフォーマンスは著しく低下します。
ゴルフでもミスを連発し、思うようなプレーが難しくなります。
この状態を「ノンフロー」といいます。
ゴルフプレーにおいて、心を不機嫌にする出来事は多く存在します。
例えばOBを打った、チョロした、前の組のプレーが遅い、同伴者のマナーが悪い・・等々。
よってゴルフのプレー中、不機嫌に傾いた自分の心を、いかに“ごきげん”に転化できるかが、ゴルフに求められるメンタリティといえます。
結果に捉われるとノンフローに
コンペの1組目。後続組のプレーヤーが、興味津々であなたのプレーを見ています。
「後ろの組の人が見ているぞ!ナイスショットしなきゃカッコ悪いなぁ‥」
「チョロでもしたらどうしよう‥」
このような思考が働く人は少なくないでしょう。
そして、このような思考はノンフローです。
イライラ、カリカリしている、文字通り不機嫌な状態ではありませんが、「ナイスショットを打たなきゃ」という結果に心が捉われています。
このような心の状態では、気持ちとは裏腹にナイスショットは期待できません。
そんな時は、子供の頃を思い出してください。
子供は、乳児から幼児に成長する過程で二足歩行を覚えます。
ハイハイからつかまり立ちを覚え、つたい歩きをし、そしてヨチヨチ歩きができるようになります。
最初のうちは尻もちをついたり、フラついて手をついたりし、親をハラハラさせますが、いつの間にかできるようになります。
「親が見ているぞ!なんとか二本脚であるかなきゃカッコ悪いなぁ・・」
「コケたらどうしよう」
「ここでちゃんと歩かなきゃ親に申し訳ない・・」
このように考える子供は・・当然いませんよね。(いたらオソロシイ!汗)
つまり子供はノンフローにならないのです。
いつでもフローな子供マインド
では何故、子供はノンフローにならないのでしょうか。
それは、子供は大人ほど「認知脳」が発達していないからです。
「認知脳」とは、外部状況を把握し、適した行動が取れるよう促す脳のことです。
例えば人は、「雨が降っている」と認知すれば、外出するとき傘を持って行くという行動を取ります。
自分が今、図書館に居ると認知すれば、静かにするという行動を取り、交差点で赤信号を認知すれば、止まるという行動を取ります。
ゴルフにおいても、同伴プレーヤーが打とうとしていると認知すれば、邪魔にならないよう静かに見守ろうといった行動が取れるのです。
この認知脳が、まだ十分に発達していない子供は、図書館で騒いでしまったり、赤信号で飛び出してしまったりするわけです。
この認知脳は、社会生活を営む上でとても大切な機能ですが、人類はこの認知脳を発達させたばかりに、自分の心をノンフローにするリスクを背負ってしまったのです。
この認知脳が、人の心に不機嫌(ノンフロー)を引き起こし、物事のパフォーマンスを低下させ、本来できる事をできなくしてしまうのです。
ノンフローに陥った心をフロー化するスキルを高めることが、メンタル力を高めることに他なりません。
そして、そのためのポイントの一つが“子供に戻る”ことなのです。
子供はシンプルに楽しんでいます。そしてシンプルに一所懸命です。
ですから、子供は物事に取り組んでいるときは、いつでもフローです。
本当に子供の頃に戻ることはできませんが、考え方一つで子供の頃のようなシンプルでピュアなメンタルに近づくことはできると思います。
同じ子供でも小学校低学年の頃までは、「これ解る人」と先生が尋ねると、殆どの子供が「ハーイ!ハーイ!」と、これ見よがしに手を挙げます。
しかし小学校の高学年ぐらいになると、手を挙げる子供が減ってきます。
成長するにつれて認知脳が発達し、羞恥心などが芽生えてくるからです。
認知脳の発達は人間にとって必要です。
仲間とゴルフを楽しむためにも必要な脳機能です。
その一方で、子供のようなピュアな気持ちも忘れず、シンプルにゴルフを楽しむことが大切なのです。
次回は「ごきげんゴルフ」を実践し、スコアアップを図るための具体的な方法をお伝えしたいと思います。
お楽しみに。