『コラム』
- 有限会社ゴルフハウス湘南
- 2022/12/12
「ごきげんゴルフ」を実践する、とっておきの方法
FIFAワールドカップ2022・カタール大会は、日本代表がドイツ、スペインと強豪国を打ち破り、グループリーグをトップで通過。
初のベスト8入りがかかった決勝トーナメント1回戦は、クロアチアと激闘の末、延長戦までもつれ込んで1対1のドロー。
PK戦で惜しくも敗れ、悲願達成とはならなかったものの、日本に夢と希望と元気を与えてくれました。
私は1993年のドーハの悲劇を知っている年代です。
あれから29年。
私はサッカーの専門家ではありませんが、素人ながら日本のサッカーはフィジカル的にもテクニカル的にも向上していると思います。
そして何より、メンタルがとても強くなったと感じています。
何故なら、日本代表の試合を観ていると、格上相手にもかかわらずけして臆することなく、笑顔で試合を楽しんでいるように見えるからです。
これぞ正に「ごきげん」がもたらす効果です。
ごきげんな心の状態を、応用スポーツ心理学で「フロー」といいます。
フローは物事のパフォーマンスが上がります。
サッカーでもゴルフでも、普段の練習の成果が存分に発揮でき、ナイスプレーが期待できます。
一方、不機嫌な状態を「ノンフロー」といいます。
ノンフローは、物事のパフォーマンスは著しく低下します。
ゴルフでもミスを連発し、思うようなプレーが難しくなります。
日本を元気にしてくれたサッカー日本代表に感謝とエールを送りつつ、今回も「ごきげん」ゴルフについて考えてみたいと思います。
自分の心を知る「フローメーター」
前回のコラムでは、自分の心にフォーカスし、心の状態に気づくことが、ごきげんゴルフを実践する第一歩であるとお伝えしました。
⇒「ごきげんゴルフ」を実現する2つの脳とは?
人の心は非常に不安定で、常にフローとノンフローを行ったり来たりしています。
ドライバーがナイスショットでフローになったと思いきや、セカンドショットでチョロしてノンフローに。
ロングパットが決まったらフローに、OBを打ったらノンフローに・・といった具合です。
よって今、自分の心がどうなっているのか、自分の心に問いかけ、自身の心の状態に気づくことが、「ごきげんゴルフ」を実現する第一歩となります。
自分の心の状態を知るお勧めの方法があります。
それは「フローメーター」です。
車のスピードメーターのようなモノをイメージしてください。
ナイスショットが打ててフローになったらフローメーターは右に振れます。
OBを打ってノンフローになったら左に振れます。
このようなメーターをイメージすると、自分の心の状態が分かりやすくなります。
ではメーターが左に振れたら・・つまり心がノンフロー(不機嫌)に陥ったら、速やかに「ごきげん」な状態に転化する必要があります。
その方法をお伝えする前に、人はなぜ不機嫌になるのかをお話しします。
不機嫌の正体を知っておくと理解しやすくなるからです。
心をノンフローにする3大要因
心に影響を与える要因は3つです。
それは「環境」と「出来事」、そして「人」です。
ゴルフの日が雨だとノンフローになりますが、これは雨という「環境」が要因です。
ミスショットしたり、OBを打ったりといった「出来事」もノンフローの要因ですし、同伴競技者がウマの合わない「人」もノンフローを引き起こします。
それら環境や出来事、そして人を脳が認知し、心を不機嫌にしているのです。
そこで少し考えてみてください。
そもそも、どうして雨は嫌なのでしょうか?
人体に有害な液体でも降ってくるのでしょうか?
サバンナにいるライオンが、「今日は雨か・・心がブルーになるぜ・・」と思うでしょうか?
そんなことはないと思います。(ライオンに聞いたことがないので分かりませんが、恐らくない・・と思います)
嫌な雨なんてありません。
人が勝手に「雨イコール嫌なもの」と、意味づけしてしまっているのです。
仮に、日照りが続く農村部で雨が降ったら、「恵みの雨」と大喜びするでしょう。
人は外部環境を認知する「認知脳」が、極度に発達しています。
それによって人類は、高度な文明を築くことができ、社会的秩序も保たれています。
しかしその代償として、認知した外部環境に勝手な「意味づけ」をして、心を不機嫌にしてしまう「負の遺産」を背負ってしまったのです。
「認知脳による勝手な意味づけ」
これこそが、人のパフォーマンスを低下させる不機嫌の正体なのです。
心をごきげんにする思考法
外部環境に一喜一憂する。それはとても人間らしいことです。
それが「いけない」と言っているのではありません。
外部環境に意味づけをし、心のメーターが揺れ動き、不機嫌に陥る。
この人間らしい心の状態と上手く付き合いながら、それを極力ヘッジ(回避・軽減)する。これが大切なのです。
それでは、心をごきげんにする方法を2つ紹介しましょう。
一つ目は「好きなコトを考える」。
「なぁんだ~」と思われるかも知れませんが、これは効果絶大です。
好きなコトを考えると、α波という脳波がでます。
人はα波がでると気分がよくなります。
「好き」は自由です。
自由は心をごきげん(フロー)にします。
一方、不自由は心を不機嫌(ノンフロー)にします。
私は以前、私が主管するゴルフスクールのお客様を対象に、メンタル講座を開催したことがあります。
その講座の中で、次のようなワークをしていただきました。
ーー【ワーク】隣の人とペアを組み、お互い好きな食べ物について5分間話してください。
今、誰かと一緒にいる人は、試してみてください。
食べ物でなくても結構です。
好きな芸能人、趣味、好きな旅行先、楽しかった思い出、などなど・・5分間好きなコトについて話した後は、笑顔でごきげんになっていませんか?
好きなコトを話して不機嫌になる人はいないはずです。
因みに、私はお好み焼きが大好きです。
お好みソースとマヨネース、そして青のりをたっぷりかけ、上でかつお節が踊っています。
かつお節は粉けずりではなく、本節けずりでなければなりません。
かつお節が、ゆらゆら踊っているのがいいのです。
そしてアツアツをほお張り、ハフハフしながら食べると超ごきげんです。(笑)
お好み焼きを食べれば「ごきげん」になりますが、ゴルフでミスショットする度にお好み焼きを食べるわけにはいきません(当然です)。
またプレーに集中している同伴プレーヤーとペチャクチャお好み焼きの話をするのも迷惑かもしれません。
そこで「考える」のです。
考えるだけでしたら、いつでもどこでも、自分ひとりで即実行できます。
ご自身の心がノンフローになったら、是非「好きなコト」を考えてください。
習慣化すればスキル化される
心をごきげんにする方法の2つ目は「今に集中する」です。
「前にこのホールのティショットでチョロしたんだよな・・」は、過去の失敗に心が捉われた状態です。
「さぁ、絶好の位置からのアプローチ。ザックリしたらどうしよう・・」は、これから打つショット(未来)に対して心が揺らいだ状態です。
このようなことが頭をよぎったら、まず間違いなくミスショットです。皆さんも経験があると思います。
不機嫌(ノンフロー)の正体は、外界で起こった出来事を、「認知脳」が勝手に意味づけしていることでした。
その認知脳は、過去と未来を見ています。
過去の失敗を思いだして心が捉われ、未来に不安を感じて心が揺らいでいるのです。
それを解消する脳の使い方が、「今に集中する」と考えることです。
今に集中しようと考えれば、過去や未来は見えなくなります。
「言葉でいうのは簡単、でもそれって難しいのでは?」そのように思われる方も少なくないでしょう。
確かに今に集中するのは難しいかもしれません。
ですから、“今に集中しよう”と考えるだけでいいのです。
そして今に集中しようと考えることを習慣化すれば、それがスキル化されていきます。
スキル化されれば出来るようになります。
脳の中のシナプスの結合が、より強固になるからです。
勿論、過去のミスを反省し、その原因を追及し、二度と同じミスを起こさないよう努めることや、そのホールの攻め方(未来)を考え、戦略を立てることは必要です。
しかしいざ実行に移すとき、つまり実際にショットに入るときは、今に集中することがとても大切なのです。
通常、人間の脳は5%ぐらいしか使われていないといわれています。
残りの95%は休眠しています。
そのお休みしている脳を呼び覚ますには、脳を使うことです。
脳を使えばシナプスが形成され、脳が活発に働くようになります。
筋肉を使えば鍛えられるのと同じで、脳も使えば使うほど鍛えられ、より機能するようになるのです。
脳をどのように使えばよいかというと、自分のフローメーターが「ごきげん」になるように使うのです。
その具体的な方法が、“好きなコト”を考えたり、“今に集中する”と考えたりすることなのです。
ご自身のフローメーターが左に振れ、心がノンフローになったら是非実践してください。
心がごきげんになり、きっとナイスショットが飛び出すでしょう!
次回もお楽しみに。