『コラム』
- 有限会社ゴルフハウス湘南
- 2023/05/08
ゴルフの上達は「能力」よりも「脳力」が大事!
今回はゴルフに必要な「脳力」について考えてみましょう。
能力ではなく脳力です。
けして誤字や変換ミスではありません。
「脳力」とは、脳のチカラです。
このコラムでも幾度となくお伝えしてきましたが、ゴルフは脳をふんだんに使います。
そういう私も、ゴルフを始めたばかりの頃は、ボールを真っすぐ目的のところに打つ技術さえあれば、良いスコアが出せると思っていました。
しかし経験を積むにつれ、ゴルフはそれだけではけして上手くはならず、フィジカルやメンタル、そしてコース戦略がとても重要であることが理解できるようになりました。
つまり、「いかにして良いスイングをするか」という観点から、技術のベース(土台)となるカラダをつくること、習得した技術を最適な形で活用するコース戦略、そして技術や戦略をいかんなく発揮するメンタルの重要性を理解するに至ったわけです。
メンタルもコース戦略も「脳力」は不可欠です。
ではこれから、ゴルフに必要な脳力について解説していきましょう。
「ココロ」とは?
「ココロ」とは何でしょうか?
一見、ココロは心臓にあると思われがちです。
それは、精神的に緊張したり、プレッシャーを感じたりすると、心臓がドキドキするといった生理現象が起きるからだと思います。
しかし、実際のところ、ココロは脳の働きの一部です。
メンタルは、「ココロ(心)」と「アタマ(頭)」に分けられます。
ココロは「感情」、アタマは「思考」です。
脳科学的にお話しすると、「感情」は大脳辺縁系というところで司り、「思考」は大脳新皮質というといころで司っています。
そして、それぞれはお互いに影響を及ぼし合い、良い感情は良い思考を生み、良い思考はよい感情を生み出します。
好きな食べ物や、好きな芸能人のことを考えると、楽しくウキウキした気持ちになります。
そして楽しい気持ちは、脳の働きを向上させ、物事のパフォーマンスを高めます。
これはゴルフに限らず、仕事でも勉強でもすべて同じです。
ということは、自分のココロをいつでも良い状態に保つことができれば、いつでも良いパフォーマンスを発揮することができます。
でもそれはとても難しいことです。
なぜなら、いつでも楽しくウキウキ、ココロを良い状態にする出来事ばかりが起こるわけではないからです。
ゴルフでいえば、「ゴルフの日が雨だった」「OBを打った」「スリーパットした」「皆の見ている前でチョロした」・・・などなど。
人は事あるごとに、ココロをマイナスにしてしまいます。
ココロをマイナスに働かせる出来事は、枚挙にいとまがないのです。
ポジティブ・シンキングはシンドイ?
「ポジティブ・シンキング」という言葉があります。
何が起こってもポジティブに考え、ココロをネガティブにしないようにしようという考え方です。
物事を前向きに、そして肯定的に捉えようとするのは必要だと思いますし、良い考え方だと思います。
しかし、OBを打ったのに、心の底からポジティブでいられるでしょうか?
皆の前でチョロして恥ずかしい思いをしても尚、ウキウキ、ワクワク、ポジティブでいられる人が、果してどれだけいるでしょうか?
笑ってごまかす人はいるかも知れませんが、心の底から楽しく笑っていられる人はいないと思います。
このように考えると、ポジティブ・シンキングは、自然な川の流れに逆らい、懸命にもがいているようで、とてもシンドイ事のように思うのです。
大切なことは、無理してポジティブを装ったり、ポジティブでいようと頑張ったりするのではなく、一旦はマイナス感情に陥りながらも、そこからココロをプラスに転化させるスキルを身につけることです。
そしてそのスキルこそが、脳のチカラ「脳力」なのです。
この脳力を磨けば、例えOBを打ってココロがマイナスになったとしても、それを引きずることなく、次のショットではココロをプラスに転化し、最高のパフォーマンスを引き出すことができるようになるでしょう。
このことを「ごきげんゴルフ」と表現し、Cittaの過去のコラムで詳しく解説しています。
まだお読みでない方は是非お読みください。
⇒◎「ごきげんゴルフ」を実現する2つの脳とは?(2022/11/28公開)
⇒◎「ごきげんゴルフ」を実践する、とっておきの方法(2022/12/12公開)
ゴルフに必要な「マルチタスク脳力」
マイナス感情をプラスに転化させる脳力に加え、ゴルフで必要な脳力があります。
それは「マルチタスク脳力」です。
このコラムでも幾度となく述べてきましたが、ゴルフでは“ながら行動”が随所に見られます。
移動しながら残りの距離を算出したり、次に使うクラブを選択したり、同伴プレーヤーのショットを静かに見守りながら、コースの攻め方を考えたり・・等です。
また、ホールアウトしたボールを拾い上げながらスコアを数えたりもします。
前回(4/24)に公開したコラムでは、グリーン上の自分のボールに向かって歩きつつ、グリーンの傾斜を読む例をお伝えしました。
このように、ゴルフでよくある“ながら行動”には、脳のマルチタスク脳力が不可欠です。
逆に、ながら行動の多いゴルフは、マルチタスク脳力を鍛える絶好のチャンスであり、認知症予防にも効果的と言われています。
ゴルフの認知症予防の効果については、次のコラムを参照ください。
⇒◎ゴルフの健康効果③~認知症予防に効果的な“脳活ゴルフ”の仕方~(2022/09/12公開)
因みに、このマルチタスク脳力は、男性よりも女性の方が優れているといわれています。
家事をしながら育児をしたり、家族と会話をしたりといったマルチタスクなシーンが多いからです。
これは人類が動物に近かったころ、メスは自分の子供を外敵から守りながら、餌を与えなければならず、常に脳をマルチに働かせる必要があったからだといわれています。
一方オスは、獲物の捕らえるために脳力を一点集中させるシングルタスク脳力が発達したといわれています。
このように考えると、ゴルフは男性より、どちらかといと女性向きのスポーツなのかも知れません。
「切替力」や「集中力」がナイスショットの決め手
では次に、それ以外のゴルフに必要な脳力を考えてみましょう。
ここで復習して欲しいのが、ナイスプレーを生み出す「5つのステップ」です。
5つのステップに関する下記のコラムをお読みでない方は、まずこれをお読みください。
⇒◎ナイスプレーを生み出す5つのステップ④「何も考えないからナイスショット」(2022/03/29公開)
ゴルフの一打一打は、すべて「①情報収集」→「②目標設定」→「③イメージ」→「④決断」→「⑤実行」の5つのステップを踏んで行われます。
これを、ナイスプレーを生み出す「定石」(最善のステップ)と呼びました。
このステップのどれかが欠けても、良い結果は得られません。
逆にこのステップを身につけ、実践するとショットのクオリティが格段に向上します。
そして5つのステップでは、それぞれ使う脳の部位も考え方も異なります。
5つのステップを復習すると、①の情報収集では、五感や体性感覚を駆使して情報を収集します。
ここでは主に大脳の中の空間認知を担う、頭頂葉や頭頂連合野という領域が働いていて、できるだけ多くの情報が得られるようアンテナを張る必要があります。
よって、ここでは「観察力」や「情報収集力」が求められます。
②の目標設定では、運動の遂行を担ったり、周囲のあらゆる情報から適切な行動を起こすことに関与する、前頭葉や前頭連合野といった領域が働いています。
ここでは悲観的、かつ多面的に物事を考える脳力が必要です。
③のイメージでは、右脳と呼ばれる大脳半球の右側が働きます。
ここでは②の目標設定とは異なり、ポジティブに楽観主義で考えることがポイントで、ここでは文字通り「イメージ力」が求められます。
そして「決断力」を発揮して④決断したら、⑤の実行では、あれこれ考えず、無心で実行することが大切です。
ここでは運動連合野で体の各部位を動かすプログラムを作り、運動野を介して脊髄に指令を送り、運動を実現します。
このように、5つのステップを滞りなく遂行するには、脳の「切替力」が求められます。
楽観主義で挑みたい③イメージのステップで、悲観的な思考が頭をよぎったり、無心で⑤実行したいときにあれこれ考えてしまったり・・このような事がないよう、脳のスイッチをしっかり切換える脳力「切替力」が求められます。
そして、あれこれ気にしたり考えたりせず、一心不乱に実行する脳力は「集中力」に他なりません。
いかがでしたでしょうか?
ゴルフでは、脳のチカラ「脳力」がとても重要であることが、お分かりいただけたかと思います。
これら脳力を向上させると、ゴルフに限らず、仕事でも勉強でも、そして日常生活のあらゆるシーンで役に立ちます。
ゴルフを通じて「脳力」をアップさせ、豊かな人生を送りましょう。
次回もお楽しみに。